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Hitachi HD63C09P


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HD63C09EPを以前取り上げましたが、これは「E無し」のHD63C09Pです。

HD63C09P
日立のHD63C09P、3MHzのC-MOSです。

HD63C09EPでは2相クロック(EQ)を外部から供給しなくてはなりませんでしたが、このE無しでは水晶を直接接続できます。あるいは単相のクロックを供給することも可能です。

EQも入力ではなく出力端子となっています。

パッと見「E有り」の存在意義がわからないかもしれません。余計なクロック生成回路が外部に必要になってしまうわけですから。

でも例えばこんな使い方は「E有り」で無いと出来ません。PLLを使えば不可能ではないでしょうがかなり面倒なことになるでしょう。

2つのHD63C09EPをクロック位相を180°ずらして動作させます。メモリへのアクセスはEが"H"の期間にのみ行なわれるので、2つは同時にメモリへアクセスすることはありませんからバスの調停無しにメモリを共有することが出来ます。

あるいは片方をMPUではなくCRTCにすることもあります。VRAMへは表示のためにCRTCが、内容の書換えのためにMPUがアクセスする必要があり、アクセスの競合を解決する何らかの対応が必要です。通常はMPU優先(CRTCは待てないので一瞬表示乱れます)かCRTC優先(MPUは待たされて遅くなります)を選ぶことになりますが、これなら最初からアクセスが競合しません。そのかわり高速なメモリが必要になり、またMPUのクロック周波数を自由に選択できなくなります。

8ビットパソコン全盛時代のディスプレイ(とテレビ)はドットクロックが14~16MHz(640×200)か7~8MHz(320×200)程度で使うのが一般的でした。VRAMからは8ドット毎に読み出すのが普通なのでメモリアクセスは1MHzか2MHz付近になり、6809/6309のクロック1MHz, 1.5MHz, 2MHz, 3MHzとちょうど良かったのです。

他にもDRAMのタイミング等E, Qからは作りにくい場合にも有効です。

一方、MPUにROMとSRAMが一つずつ、I/OもMC6821やMC6850くらい、といったシンプルなシステムではもちろん「E無し」の方が簡単です。

ところで今、HD63C09EPのマーキングをHD63C09Pに書き換えた偽造品が出回っているようです(リンク参照)。これは比較的最近中国から調達したものなのでちょっと心配です。

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