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Motorola MC68681 DUART


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このMotorolaのMC68681 DUART (Dual Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)は数あるシリアル通信用ICの中でもあまり知られていない部類でしょう。

MC68681P
モトローラ製のMC68681Pです。型番が有名なFPU MC68881と似ているので一瞬読み間違いそうになりませんか。

このMC68681は68000バス用ですが、汎用バス向けにしたMC2681, MC2682というものも存在します。

SCN68681C1N40
こちらはSignetics製のSCN68681C1N40です。「C1」は0°C~+70°C(他に-40°C~+85°Cの「E1」あり)を表し、「N40」は40ピンのプラスチックDIP(他にセラミックDIPの「F40」、44ピンPLCCの「A44」あり)を表しています。

MC68kボードの製作時にはVPA信号を使ってMC6850 ACIAを使ってしまったのですが、いつかVPAのないMC68020MC68030でボード作るときに備えて持っていたものです。でももう出番無いかも。

代表的なシリアル通信のICを比較してみましょう。

型番 名称 ピン数 Ch数 Async Sync HDLC 備考
6402 UART 40 1 Yes No No データバスが入出力で別、ステータスが独立ピン、などCPUを使わない応用向き。
8251 USART 28 1 Yes Yes No PC-8001,PC-8801,PC9801シリーズで使用。
Z844x Z80 SIO 40 2 Yes Yes Yes
Z8470 Z80 DART 40 2 Yes No No
Z8030 SCC 40 2 Yes Yes Yes Z8030はマルチプレクスバスだが、アドレス・データを分離したZ8530もある。
MC6850 ACIA 24 1 Yes No No
MC6852 SSDA 24 1 No Yes No
MC68681 DUART 40 2 Yes No No
μPD7201 MPSC 40 2 Yes Yes Yes
8250
16550
UART 40 1 Yes No No PCのCOMポートはこれ。

これを見るとMC68681はZ80 DARTと似たスペックです。知名度が低いのも似ていますが、やはり需要があまり無かったのでしょうか。
68kのシステムでも非同期のみでよければMC6850が使われることが多かったですし、それ以上が必要であればZ8530 SCCを使うことが多かったように思います。68k時代のMacintoshもそうでしたし、前に紹介したVME MC68010ボードなんかもそうです。たしかSun 3なんかもそうだったんじゃないかと。

8251やMC6850はそれぞれ80系・68系という成功したファミリの標準デバイスとして広く使われたデバイスです。特に性能が良かったということはありませんが、それなりに使いやすかったと思いますし、なにより情報が豊富にあったので安心して使えるデバイスでした。

Z8030・Z8530はメインのZ8000がCPUとして成功とはいえなかったのに対し、このSCCと改良版のESCCは成功と言えるでしょう。今、単独のシリアルの石を探すとするとこのSCCの系統か16550の系統くらいしか選択肢がありません。

8250・16550の系統はPCでお馴染みのデバイスです。PCにはもう単独で使用されることはありません(とっくにチップセットに取り込まれましたし、今はもうシリアルなんて無いことが多いですよね)が、組み込み用などでは現役です。私も仕事でRenesas SH3に接続しているシステムにかかわったことがあります。16550そのものではなく16550×4を1つにした16554でしたが。

参考文献・関連図書: 
MC68681データシート, Motorola.
SCN68681データシート, Philips Semiconductors.

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