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門司電気通信レトロ館(その他編)


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3回目の今回は「電話機編」でも「交換機編」でも取り上げられなかったものを紹介して門司電気通信レトロ館の項を終わりにしたいと思います。

7T54RA
いきなり部品ですが東芝製(見にくいですがロゴがあります)の7T54RA、送信用の真空管です。船舶との短波通信用だそうです。

日立にも類似の型番の7T54Rがあり、『日立評論』に概要がありました。それによるとプレート損失が最大2.5kWという強制空冷式の三極管のようです。真空管は同仕様のものを各社が同型番で製造するのは普通のことですから、これもそうなのでしょう。

端子はネジ式で4つ、先の資料の写真では4つのうち2つが短絡されて3本の線が引き出されているので下のラジエータ部も端子の一つ(おそらくはプレート)ではないかと思います。

工具
メンテナンス用の工具もありました。

左上がH形交換機用の調整保守工具のセット、右の箱入りはクロスバースイッチ調整用工具です。

今はスイッチやリレーの接点は密閉されていますが、クロスバースイッチは前回の写真でもわかるように接点はむき出しです。ゲージのようなものも含まれていますから、接点間隔なども調整していたのだと思います。現在持ち歩いたら開錠具と間違われて捕まりそうなものもあって電気関係の工具らしくはないですね。

試験用送受話器
これは試験用送受話器、コードの出ている右側が送話口で左側が受話口です。受話口の裏側にはダイアルが付いています。

「交換機編」のA形交換機の写真にダイアル側が写っていますよ。

モールス印字電信機
モールス符号による電信機もありました。

右側に送信用の電鍵があります。

左側の機械で受信した内容を紙テープに記録します。説明には「モールス印字電信機」とありましたが、符号を解読する機能は無いはずなので長短の符号のまま記録します。

引き出しのようなところに紙テープのリールをセットし、手前側の左右にあるローラを経由して左のスリットから上に引き出すものと思います。

送信機(LT52型)
送信機(LT52型)は印刷電信の送信機です。

通信回線を効率よく利用するためメッセージはあらかじめ鍵盤鑽孔機を使って紙テープに記録しておきます。符号はテープの幅方向に並んだ穴の有無で記録されます。

その紙テープをこの送信機にセットすると順にシリアル変換されて通信回線に送信されることになります。

動作についての説明はありませんでしたが、子供の頃に読んだ図鑑に仕組みが書かれていたのでその記憶を元に書いてみます。

右下の透明カバーの中に輪が2つあります。外側の輪はいくつかに分割されていて、それぞれ符号の穴に対応しています。一箇所はスタートビットのはず。内外の輪をショートする部品がモーターで回転し一周すると内側の輪から1符号分の信号が出力されます。テープを1符号分進めて同じことを繰り返します。

普通ロジック回路でパラレル-シリアル変換する場合はシフトレジスタを使いますが、これはカウンタとセレクタを組み合わせたような仕組みですね。

印刷受信機(SJ54型)
この印刷受信機(SJ54型)は受信した内容を活字でプリントします。見た目はほとんどキーボードの無いタイプライタですね。

印字は細い紙テープに1次元的にプリントされます。

日本初の携帯電話
日本初の携帯電話もありました。重量は約900gです。

これ以前にも移動しながら使えるものはありましたが車載用の自動車電話で、車から外せるようになったショルダーホンでも3kgありました。

謄写版
最後はちょっと雰囲気を変えてみました。謄写版は昔の簡易印刷機ですね。

蝋をひいた紙の上に鉄筆で字などを書いて版とします。上にインクを載せて圧をかける(ローラーを転がすのが一般的)と字の部分は蝋がなくなっているのでインクが透過して下の紙に印刷されるというものです。学校のプリント等でよく使われました。

私が小学生の頃には学校のものは自動化されていましたね。
原稿は青緑色の罫線の入った紙に普通の鉛筆などで書けば自動で版が作られましたし、印刷も機械に枚数をセットすればあとは勝手に印刷してくれました。卒業文集などはこの罫線入りの紙が配られて書いた記憶があります。

一時大流行した「プリントゴッコ」なんかもこれの亜種ですね。強力な光を当てて原稿の黒い部分が光を吸収して発熱することを利用して版を簡単に作成すること、インクの圧の掛け方を工夫して多色刷りに対応したこと、などの点が改良されています。

うちにあったのは何て名前だったか、ボールペンで版が作れることとハガキサイズだったことを除けばこの謄写版とそっくりでした。

3回にわたっていろいろ書いてきましたが、難しいことを考えずにフラっと寄っても十分楽しめると思いますよ。

参考文献・関連図書: 
「日立ニュース」,『日立評論』1956年5月号, 日立評論社.

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