2016-04-22 13:47 — asano
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日立のACRTC (Advanced CRT Controller)、今でいうグラフィックアクセラレータのようなものです。
上が HD63484P8 (ACRTC)です。「P8」とついているのはプラスチックDIPパッケージ(64ピン)の8MHz品を表しています。Pの上に「U」とあるのはUマスク(マスクはソフトウェアで言うバージョンのようなもの)品で、マニュアルによれば「R」「S」にはかなりの制限事項があったことがわかります。
左下の HD63485CP32 (GMIC)と右下の HD63486CP32 (GVAC)は周辺回路を集積したもの。この ACRTC かなりの外部回路を要求したのでそれらをまとめて ACRTC の数年後にリリースされたと記憶しています。型番が連番になっているので想定して空けてあったのかと思われます。さらにのちに GMIC + GVAC をまとめた HD63487 というのも出たらしいのですが、残念ながら持っていません。
「CP32」はPLCCパッケージの32MHz品で、他に48MHz, 64MHzというのもありました。
ACRTC のユーザーズマニュアル。これは第2版ですが、第1版は1984年6月に発行されています。
各ピンの説明といったデータシート的内容と、コマンド説明です。巻末に制限事項の記載もあります。
アプリケーションノート-I 入門編とアプリケーションノート-II 実践編。
これらは具体的な設計例を含んだ資料で、参考回路図等も掲載されています。当時まだ高校生だったのでこの資料が無かったら作って見ようなどとは考えなかったと思いますね。
GMIC, GVAC のアプリケーションノート。1986年9月の発行です。これも具体的な設計例の資料となっています。
データシートもあったのですが独立した冊子にはなっておらず、他のデバイスと一緒になっていました。デバイスを購入したとき代理店でコピーを貰ったのですが、現在行方不明なので捜索中です。捨ててはいないと思いますが。
これは当時のカタログ(クリックすると大きい画像が見られます)。
現在のアクセラレータは3Dやビデオ再生に主眼が置かれていますが、このころは線や円弧などの描画が中心であることがわかります。ビットマップ(パターン)の描画も16x16ですから文字フォントやタイルペイントを想定してるのでしょう。
中でも「任意閉区間の塗りつぶし」は当時のパソコンのBASICに含まれている描画機能はすべて搭載しようとしたとしか思えないですね。これ複雑な形状を塗りつぶすためのもので特定の色で輪郭を描いておき、中の1点を指定して「任意閉区間の塗りつぶし」コマンドを発行すると輪郭の内側を塗りつぶしてくれるというもの。輪郭が複雑な形状だと実行中に分岐点を憶えておく必要があるのですが、デバイス内の記憶域が一杯になると割り込みがかかり、内部に記憶できなくなった分岐点をソフトウェアで記録しておくことができます。コマンド終了後にこの記録しておいた分岐点に対して再度「任意閉区間の塗りつぶし」コマンドを発行すれば塗り残しを塗ってくれるのです。しかもパターンで塗っていてもパターンが正しく繋がるような情報も含まれているので、最終的な描画結果からは記憶域があふれたことはわからないようになっていました。
これだけ資料がそろっているのはかなり真剣にボードを製作しようとしていたためです。当時(1987年ごろ?)考えていた仕様はこんな感じでした(結局製作はしませんでしたが)。
ホストI/F | Z-80バス(PC-8001mkII) / MC68000バス(自作ボード) どっちだったか、途中で変えたのか? |
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デバイス | ACRTC×1, GMIC×1, GVAC×1 |
解像度 | 640x400 |
色数 | 8 |
VRAM | 384kB (64k×4 DRAM ×12) |
出力端子 | DIN 8ピン (デジタルRGB) |
出力フォーマット | fv=15.75kHz(インターレス) |
PC-9801と同じ解像度は欲しいけど、手持ちのディスプレイが使えるようにと配慮した仕様でした。
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