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ADSLモデムを開けてみた


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ADSLモデムはもう使うことも無いのでいつものように中を見てみることにします。

底面のネジ2本を外すと2枚貝のようにケースが開きます。基板はその間に挟まっているだけでした。


上の方にある3つのシールドが気になりますね。左上隅にLINEコネクタ、隣の水色のはアレスタです。2つあるタムラのトランスは送信用と受信用でしょうか。位置的にシールドは送受信回路の一部のように思えます。この基板は壊しても構わないのですが、これ開けるのは大変だろうなぁ。

LEDのシルク、4つはフロントの表示と一緒ですが、上から2つ目のPPPだけ異なっていますね。単なるモデムならPPPなど関知しないはずなので前回書いたルーターになるらしいという話の補強材料になりそうです。

シールドとLEDの間にCentilliumブランドの石が2ついます。ブロードバンド用のチップセットなどを手掛けているメーカのようなのでこれもそうなのでしょう。データシートの類は見つけられませんでした。

中央のBGAはXPC850DSLZT50BU、これはデータシートありました。PowerPCコアにイーサネットやUSBを追加したプロセッサです。

その下のLH28F160BJE-TTL90は16MビットのフラッシュEEPROMです。

右下隅のK4S641632E-TC75は1M×16bit×4bankの64MビットSDRAMです。これが2つなので16Mバイトですが、これも単なるモデムにしては大きすぎるように思います。

IntelのLXT905PCは10BASE-Tのトランシーバ、隣のTG75-1406Nは絶縁のパルストランスです。

左下は電源ブロックです。アダプタは9V出力だったのでここで必要な電圧を作っているのですが...

NECの2905はμPC2905でしょうか、5Vのリニアレギュレータです。5ピンの3011ZはサンケンのSI-3011ZD、可変電圧のやはりリニアレギュレータです。おそらく3.3V用に使っているはずです。

ACアダプタもそうですし、ここでもリニアレギュレータなのはスイッチング電源を使うとADSLに影響してしまうからなのでしょうかね。と思ったら3011Zの右下のIC502はスイッチングレギュレータでした。「LTLS」はLT1767EMS8、可変電圧タイプです。するとロジック系の3.3Vはこちらでしょう。ADSL周りのアナログ系だけリニアレギュレータ使っているのかな。


裏面、上部のLINEコネクタからシールドあたりの太いパターンと、XPC850を中心としたロジックの細いパターンの対比がちょっと面白いですね。

それにしても PowerPC 50MHz, ROM 2MB, RAM 16MBとかなりのスペックを積んでいるのはなぜなのでしょう? 数が出ないものならルーターと共通設計にするというのもわかるけど、東西NTTで出る数を考えると...

参考文献・関連図書: 
”MPC850 PowerQUICC Integrated Communications Processor Hardware Specifications", Freescale Semiconductor.
LH28F160BJE-TTL90データシート, Sharp.
K4S641632Eデータシート, Samsung Electronics.
LXT905データシート, 249271-002, Intel Corporation.
SI-3011ZDデータシート, Sanken Electric.
LT1767/LT1767-1.8/LT1767-2.5/LT1767-3.3/LT1767-5データシート, Linear Technology.
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