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EPSON HC-88 (分解編)


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例によってこのHC-88も中を見てみましょう。

本体 裏ブタを開けたところ
本体の裏ブタを開けたところです。シールドのためのシートがあって基板はよく見えません。2ヶ所シートがめくれているのは外からアクセスできるところです。

左上の大きなネジ(マイナス)を外すとシートを開けることができます。このネジは中にバネが仕込んであり、おそらく導通をしっかりとるためと思われます。
右上の空間はメイン電池の入っていたところ、その左の小さな基板はマイクロカセットデッキです。

本体 基板 表面
シートは「コ」の字状に基板を挟むようになっています。下のほうに少し見えていますね。

左上のM25097CBは「IPL-T」というマーキングもありメインCPUのROMと思われます。これは分解せずにアクセスできるようになっており、バージョンアップを考慮しているようです。シルクにはM25030AAと書かれているので一度変更しているのかもしれません。
さらにこのデバイス、3行目には「3256M58」「4K1」とあります。この2つ目の「4K1」が日立製半導体のデートコードにそっくりです。実は日立製なのではという気がしています。

右隣のTMPZ84C00P-3は東芝のCMOS版Z80 CPUです。これもシルクは別の型番「μPD70008」ですが、この型番はNECのCMOS版Z80 CPUになります。

次のE01030EAは詳細不明です。それともGAH40Dの方が型番なのか。ちょっと変わったQFPですね。

M25097CBの下にはOKIのM82C51A、これはもちろん8251 USARTのCMOS版です。「RS-232C」「SERIAL」と2つのシリアルポートを持つ本機ですが、この82C51は「RS-232C」用で「SERIAL」はスレーブプロセッサに接続されています。
右のGAH41M E01031AB (シルクはなぜかGAH40M)、SED1320F E02030ABも詳細は不明です。SED1330FというLCDコントローラがありますが関係あるのでしょうか?

基板左下の40ピンC750108C121、これも「EPSON」のマーキングにもかかわらずNECっぽい感じがあります。8255 PPIのμPD8255AC-5と比べてみてください。シルクには7508とあるので4ビットのスレーブプロセッサμPD7508と思われます。マニュアルによると電源制御のほか、キーボードやA/Dコンバータもつかさどっているとのことです。
ちなみにこの7508の左にあるμPD7001Cは8-bit CMOS Serial I/O Analog-to-Digital Converterで、4チャンネルのマルチプレクサ付きです。電池電圧の監視用かと思いますが、余った入力がリアのコネクタに出ているのではないでしょうか。
7508の下のコネクタはキーボードへいくものです。

右側に8つ並ぶμPD4265Cは64k×1bitのDRAMで64kBのメインメモリですね。1ピンにRFSHが出ているタイプで、リフレッシュカウンタを内蔵しています。また消費電流を最小で50μAまで減らせるスタンバイモードも持っているのでバッテリバックアップが必須なこのような機種に適しています。

さらに右にはROMカプセルが2ついますね。
上に3つあるHM6117LFP-4は2k×8bitのSRAM、5kBのVRAMを含むスレーブプロセッサ用のRAMです。
右のC63030CBというのがそのスレーブプロセッサらしいです。これも日立製ではないかと思いますね。

上の黄色いものはサブ電池ですね。メイン電池がなくなると電源は切れるのですが、その後もメモリをバックアップするための電池です。ACアダプタを接続すればメモリはそのまま作業再開できるというわけです。今なら1つの電池で残量管理しながら完全になくなる前にスリープ状態に移行するところでしょう。

本体 基板 裏面
裏側にはC,R類以外はほとんど部品はありませんね。

中央上の丸いものはスピーカですね。右上のコネクタはLCDへのものです。

日本語処理ユニット 基板 表面
これは日本語処理ユニットの基板です。こっちにも電池が入っていますね。

左上には集合抵抗がずらっといますね。
M25098CAとM25090CAには「JCPM1」「JWP」とあり、それぞれ日本語CP/Mと日本語ワープロでしょうか。
40ピンのM10040BA076,M10010BC090,M10020BA071,M10030BA072はNEC製のマスクROMと思われます。マニュアルによるとJIS第1水準漢字フォント128kB、漢字辞書128kB、国語辞書(漢字変換辞書と思われます)256kBを持っているそうなのでこれらがそうなのでしょう。1つ1Mbit(128k×8bit)と考えると数字が合います。さらにオプションでJIS第2水準漢字フォント128kBがあるそうなので右の空きソケットがそれでしょう。

下には本体にもあったμPD4265C(-20)が16個あり128kBのRAMを構成しています。電池はバックアップ用ですね。これらはRAMディスクですが容量がマニュアルと食い違っています。デートコードによると左側8つは右8つに比べて3年ほど新しいので後で増設したものと思います。

日本語処理ユニット 基板 裏面
裏面、ケースに戻しました。

中央下に手ハンダの跡があり、やはり後から増設したのは確かのようです。

「日本語処理ユニット」という名前ですが、実態はROM/RAM増設ボードといったところですね。


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