2018-05-22 22:45 — asano
アメリカのパーツ店のサイトを眺めていたら面白いものを見つけたので取り寄せてみました。
National SemiconductorのINS8073/Nというものです。
型番が以前取り上げたINS8060N SC/MP IIに似ていますね。それもそのはず、これは改良版のSC/MP IIIの一員だからです。主な変更点は以下の通りです。
- レジスタの拡張
- スタック機能の追加
- 乗除算命令の追加
- RAMの内蔵
- ROM内蔵の品種あり
上で「面白い」と書いたのはROMの存在です。SC/MP IIIにはROMの違いによって次のようなラインナップがありました。
型番 | ROM | RAM | 備考 |
---|---|---|---|
INS8070 | 0 | 64B | ROM無し |
INS8072 | 2.5kB | 64B | マスクROM |
INS8073 | 2.5kB | 64B | マスクROMにNIBLインタプリタ |
INS8074 | 4kB | 64B | マスクROM |
INS8075 | 4kB | 64B | マスクROMにN2BASICインタプリタ |
この INS8073はROMにNIBL(Tiny BASICの一種)を搭載しているのでROMに書き込む手段を持っていなくても簡単に使うことが出来ました。私もZ80ボード1号機の代わりにINS8073でボード作っていたらもう少し実用的だったかもしれません。
ただ当時のアマチュアには使いにくい面もありました。TTY等のターミナルを必要とする点です。
ターミナルを買えるお金があれば市販のパソコンが買えます。あるいはパソコンをターミナルとして使うかです。パソコンを買えないからボードを作るという人には使えないのです。
またパソコンを持った上でより高性能なボードを作るという目的にはSC/MP IIIの性能は不十分でしょう。
ハードウェアを弄るのに高価なパソコンを壊すリスクを犯したくないという目的にはちょうど良かったでしょうけど。
さて、データシートは入手していたのですがNIBLに関してはまったく触れられていませんでした。文法はもちろん、ターミナルをどのピンに接続するかボーレートはどうするのかといったことまで不明です。
近いうちにまた国会図書館に探しに行くかな。
2018年6月1日 追記:
NIBLの資料も無事に見つかり、ボードを作って動作確認できました。
参考文献・関連図書:
INS8070シリーズ データシート, National Semiconductor.
Forrest M. Mims, "Keeping Up With the New Microprocessors", "Computers & Electronics", January 1983, pp.82-83
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