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N8X300


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またまた変わったマイコンが手に入りました。

Signetics N8X300I
SigneticsのN8X300というものです。8135とあるので1981年製でしょうか。

これにはいくつかの風変わりな点があります。

まずはパッケージです。パッと見では変わっているように見えないかもしれませんが、ピン数を数えてみてください。片側25の50ピンなのです。48ピンの上は64ピン(表面実装では52ピンがあります)しか無いと思っていたのですが...

ピン間は標準的な100mil、幅は64ピンと同じ900milとなっています。

次に半導体プロセスも変わっています。現代のプロセッサはほぼ全てがCMOSプロセスです。それ以前はnMOSが使われ、最初期の4004などはpMOSプロセスが使われていました。

ところがこの8X300はバイポーラプロセスなのです。データシートには「high-speed bipolar microprocessor implemented with low-power Schottky technology」とあり、LS TTLなどと同じような構造と思われます。

命令用メモリとデータ用メモリが完全に分離したハーバード・アーキテクチャなのも特徴です。Z8や8051などと異なりアドレス空間だけでなくバスも分離されています。

命令用メモリ空間は8k×16bitとなっていて、アドレス線13本とデータ線16本で直接アクセスします。50ピンの内の半分以上が使われてしまっていますね。最大クロックの場合250nsで1命令ですから、マルチプレクスするわけにはいかなかったのでしょう。

データ用メモリ空間は256×8bitが2系統あります。I/Oもこの空間にマップします。こちらは8ビットのバスにアドレスとデータがマルチプレクスされています。

このようなアーキテクチャなので汎用計算機としては使いづらいですね。

電源もちょっと変わっています。

外部から供給するのは5Vなのですが、内部で3.1Vも必要らしくそのためのレギュレータを内蔵しています。ただ大きなトランジスタを一緒に集積できなかったようで外部にパワートランジスタが必要になっています。

裏側
裏側には「8X300」「EI3VC」とマーキングがありました。裏面にも型番があるのは珍しいですね。

実はこれの互換プロセッサも同時期に入手できました。

KM1818BM01
旧ソ連製のクローン、KM1818BM01というものです。データシート等が入手できないので詳細不明なのですが...
まぁ入手できても読めないでしょう。

「8803」は西側と同じようにデートコードと解釈して良いのかな?

フタから伸びているパターンは通常どこかのピンに接続されているものですが、これは切れていますね。最初は必要に応じてショートするかキャパシタか何かを付けるのかと思っていましたが、23ピンはI10(命令用データバスのビット10)なんですよね。GNDか何かなら納得いくのですが、どういうことなんでしょう? まさかクローンといいつつピン配置が違うなんてことはないでしょうね?

参考文献・関連図書: 
8X300データシート, Signetics.

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