2020-10-13 21:31 — asano
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Intel 8741A, Zilog Z8594とくれば次はこのMotorola MC68121でしょう、ということで入手してみました。
MC68121 Intelligent Peripheral Controllerです。「NF4」がマスク、「8732」がデートコード(1987年32週)と思われます。
パッケージ両端に樹脂製の保護材がついていますね。MC68kボードに搭載していたMC68010にも同様のものがついていましたが、いつの間にか紛失してしまっていました。
48ピンのセラミックパッケージは68ピンのMC68000/68010ほどではありませんがDIPとしてはかなり大きな部類です。データシートを読むとピン5~24がSystem Bus、ピン25~42がLocal Busとあり、2系統のバスを持っていることがわかります。
このデバイス、マイコンには違いないのですが他のプロセッサの周辺デバイスとして動作するため、メインプロセッサと接続するためのSystem Busと、自分のためのメモリや周辺デバイスを接続するためのLocal Busを持っています。マスクROMを内蔵したMC68120では外部Local Busを使わない(ピンはI/Oポートして利用できる)モードも使えますが、内蔵ROMの無いMC68121ではコードフェッチのために外部Local Busは必須です。
System Busはアドレス・データともに8ビットのノンマルチプレクスバスで、MC68000系の非同期バスとMC6800系の同期バスが選択可能です。内部の128バイトのデュアルポートRAMと6つのセマフォレジスタにアクセスできます。
Local Bus側は外部バス無しのSingle Chip Mode、アドレス・データともに8ビットのExpanded Non-Multiplex Mode、アドレスが16ビットのExpanded Multiplex Modeの3種類が選択可能ですが、内蔵ROMの無いMC68121ではExpanded Multiplex Modeのみが使用可能です。
- Single Chip Mode
Port 3, Port 4がI/Oポートとして使えます。 - Expanded Non-Multiplex Mode
Port 3はD0~D7、Port 4はA0~A7となります。アドレスラッチ不要でMC6821, MC6850などのペリフェラルの追加に良さそうです。 - Expanded Multiplex Mode
Port 3はAD0~AD7、Port 4はA8~A15となります。アドレスラッチは必要ですが約64kBの外部メモリ空間が使えます。
プロセッサコアとしてはMC6801相当のものが搭載されています。
内蔵のメモリは先述のデュアルポートRAMを除くと2kBのマスクROM(MC68120のみ)だけなので、増設しない限りワークやスタックもデュアルポートRAMに置くしかないようです。
他にタイマと非同期シリアルを持っています。これもMC6801と同じかな、今度調べてみよう。
裏面をみるとマレーシア製でした。
ところでこのMC68120/MC68121、使用例を聞かないのですが何に使われていたのでしょう?
8041/8042(8741AのマスクROM版とその容量拡大版)はPCのキーボードインターフェイスが有名です。これは周辺LSIを手っ取り早く(LSIよりはソフトウェアのほうが開発は容易でしょう)開発しようという使い方ですね。ソフトウェアができてしまえば8251や8255といったデバイスと同様に使用できます。
MC68120もSingle Chip Modeで同様の使い方もできますが、外部バスを活用してI/Oサブプロセッサ的な使い方もできそうです。
あとやはりIntelで一時ハイエンドPCマザーボードに載っていたi960使用のI2O(Intelligent Input/Output)とか。
外部バスに大容量のRAMを積んでメインプロセッサからソフトウェアを送り込めるようにすればかなり柔軟なシステムになったと思うのですが...
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