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パーソナルなコンピュータのプロセッサ事情 (第6回: ハンドヘルド)


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バッテリ駆動が前提のハンドヘルド機ではプロセッサ選択の基準も変わってきます。

まだリチウムイオン電池などは無く、アルカリ乾電池かNi-Cd充電池で実用的に使うためには消費電力が重要になります。まだn-MOSのものが多く、選択肢は限られていました。

Intelの80858080の改良版、といってもハードウェア的な変更が主でソフトウェア的にはほぼ8080です。Z80より先にCMOS版が供給されたため選ばれたようです。

8085の初のCMOS版は沖電気のMSM80C85で1981年登場、Z80では1982年末のシャープLH5080が最初です。

CMOSの80C85を採用していたハンドヘルド機には次のようなものがありました。

8080上位互換なのでCP/M-80自体は動くのですが、Z80を前提とするソフトウェアも多かったので注意が必要でした。

ライバルのMotorolaもMC6800を(おもにハードウェア的に)使いやすくしたMC6802や、ROM・RAM・タイマ・I/Oを追加して組み込み用にしたMC6801を出しています(MC6801は命令も強化されています)。残念ながらどれもCMOSではありません。
ところが日立がMC6801をCMOS化したHD6301(とROM無しのHD6303)を出してきます。これを採用したハンドヘルドパソコンがあります。

  • エプソン HC-20
  • エプソン (HC-80/88) サブプロセッサとして使用。メインはZ80のCMOS版

もっと小型のポケットコンピュータでは基本的にBASICでの使用のみを考えていますからプロセッサの詳細は非公開が多かったのですが、いくつか判明しているものがあります。

一つはSC61860でシャープのPC-12XX, PC-13XX, PC-14XXの多くに使われていました。
switch-case用なのかテーブルをひいてジャンプするような妙に複雑な命令があったり、内部ROM/RAM用の短縮命令(オペコードにアドレスが組み込まれている)とか癖のある命令体系でした。

SC62015はPC-E500シリーズに使われました。
確かアドレス空間が1MB(20ビット)、命令体系も上記SC61860よりは普通になっていたように記憶しています。


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