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電気の史料館 (中編)


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昨日は発電関係でしたが、今回は送電関係のものを取り上げます。

バンザイ鉄塔
こんなものもありました。鬼怒川線865号鉄塔、その形状からバンザイ鉄塔とも呼ばれています。

写っているのは上半分だけですが、下半分もちゃんとあります。引きがとれなく全景は撮影できなかったのではないかな。

碍子が6つあるので2回線(一部の例外を除いて3相交流)、電圧は説明によると66kVだったそうです。

現在の鉄塔とは随分と形状が異なっていますね。今では3つの相は縦に並んでいることが多く、飛行場の近くや上を他の送電線が交差しているなどの理由で高さに制限がある場合は横に並べることが多くなります。縦にすれば鉄塔を高くする必要が生じ建設コストが高くなります。横にすれば面積が増えて土地代や線下補償などの費用が嵩みます。

一方で電気的には3つの相はバランスしていることが重要になります。縦でも横でも1列に並べると線間の静電容量のバランスが崩れ(真ん中と両端は異なる)ますし、縦にすれば大地との距離が異なってやはりバランスが崩れます。周波数は50Hz/60Hzと低いものの長距離になると影響はあるようで、途中で並びを入れ換え(捻架といいます)てバランスをとっていることがあります。写真のモノは正三角形に配置することでこの問題を解決しようとしているようですね。

碍子の取り付け方も違っています。今は吊っているのがほとんどですが、これは下から支える構造になっています。

この形式が廃れたということはデメリットが多かったのでしょう。

巡視のための装備
このような一見電気とは関係なさそうな装備も展示されていました。

これは送電線路の点検・修理などのための装備だと思われます。スキーやかんじき等があるのは、やはり積雪による被害が多いためでしょうか。

今ではヘリコプターで行なうことも多いようですが、地上のルート(巡視路)もよく見かけます。「○○線 △号 鉄塔 ⇒」みたいな表示があってそれとわかります。

地中送電用ケーブル
都市部ではあまり送電線を見ません。地中送電線が使われているからです。そのためのケーブルもありました。

どれも同軸ケーブルのような構造になっていますが、それは外部に電界が生じないように導体で囲んでいるためです。

両者の間は当然絶縁する必要がありますが、古くはOF(Oil Filled)ケーブルといって絶縁紙に油を染み込ませたものが用いられました。これは常に外部から圧力をかけて油を供給する必要があります。写真の手前左(現存最古のOFケーブルだそう)は中心に空洞がありますがここが油の通路になります。

架橋ポリエチレンを使ったもの(CVケーブル)も(ここには写っていませんが)あり、油槽がいらないなどのメリットから広く使われています。

次回は残りを紹介してここを終わりにします。


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