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Signetics N82S137


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ジャンク箱の中に珍しいCERDIPを見つけたので今回はこれを取り上げることにします。

N82S137AF
SigneticsのN82S137AFです。「0045」と「8841」どちらもデートコードとしてあり得るので特定できません。

Signeticsとはあまり聞かない名前ですが、40年以上前にPhilipsに買収されてしまっているからです。ということは「0045」も「8841」違っているのか、それともSigneticsのブランド・ロゴが一部で使い続けられたのでしょうか。
ちなみに有名なタイマICのNE555やオーディオ用オペアンプのNE5532などを開発したのもこの会社です。BUSICOM 162に使われていたDTL ST600ファミリもそうです。

さてこのN82S137AFですが、4096-Bit Bipolar PROMというROMです。構成は1024×4bitです。
Bipolarということは現代のPROMで一般的なフローティングゲート構造ではありません。それではどうやってプログラムするかというと、内部にヒューズが作られていてそれを切るか切らないかで書き込むのです。一旦切ったヒューズを再接続することはできませんから、書き込みは一度だけということになります。

一度しか書き込めないのはデバッグに不便という以上の問題があります。
製造工程で動作テストができないのである程度の不良品が混入するのを防げないのです。不良を見越して多めに買うか、大口なら代理店に書き込んでもらってOK品だけを買うなどしていたようです。私自身は使ったことは無いです。
現在もOTP(One Time Programmable)という似たものがありますが、あれはパッケージに紫外線照射用の窓が無いだけで中身はUV-EPROMと一緒です。パッケージ前のダイの状態ならテスト可能です。

Bipolarだけあってアクセスは速い(80ns)ので、プロセッサのメモリとしてだけでなく、アドレスデコーダなどにPLDの代用として使われることもありました。

そんなものをなぜ持っているかということですが、おそらく何かからの外し品と思います。
右下の「1492」は後からのマーキングで、中に書かれているデータを識別するために書き込み時に印字したものでしょう。

2017年11月22日 追記:
さらに同じものが2つ出てきたので外し品ではなかったようです。IC袋(雑多なICの入った福袋のようなもの)にでも入っていたのかも。
合計3つ
参考文献・関連図書: 
82S137データシート, Philips Semiconductors.

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