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74シリーズの変り種(その3)


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74シリーズの変り種の3回目になります。

例によって初回の注意事項を繰り返しておきます。

それと誤解がないように書いておきますが、特記のない限り実際に使ったことはありません。古いデータシートを読んで気になったものを取り上げているだけなので、勘違いなどあるかもしれません。入手も難しいものが多いと思いますので「へぇ~」という軽い気持ちでお読みください。

74LS600, 74LS601, 74LS603

これらはMemory Refresh Controller、DRAMのリフレッシュを行うためのカウンタやタイミング回路をまとめたものです。

3種類あるのは対応するDRAMの容量とリフレッシュのモードが異なるため。

タイミングはR,Cを外付けします。

SN74LS610 ~ SN74LS613

これはMemory Mapperといって4ビットのアドレスを12ビットに拡張します。簡易MMUみたいなものです。

例えばアドレス16ビットの一般的な8ビットプロセッサに使う場合、アドレスの下12ビットは直接メモリに接続し、上4ビットをこのMemory Mapperに接続します。中には16×12bitのRAMがあって12ビットに拡張され、合計24ビットのアドレスが得られます。

さて、ピン数はどうなっているのでしょう?

アドレス入力が4に出力が12、RAM書き換えのためのアドレス入力が4にデータが12、これだけで32本にもなります。他に電源や制御線を入れて40ピンDIPという74LSシリーズとは思えないパッケージになります。

74AS888

これは8-Bit Processor Slice、16×8bitのレジスタファイル・8ビットのALU・シフトレジスタなどをまとめたものです。

以前、74LS181, 74S381などの4ビットALUを取り上げました。74LS281, 74LS681ではシフトレジスタが追加されました。

この74AS888は8ビット長になりレジスタファイルが追加されているだけではありません。

乗除算(さすがに1命令ではできず複数の命令を順に与える必要があります)やBCDの扱いなども可能になっています。また必要に応じて複数を連結して16ビット幅や32ビット幅などとすることもできます。

ピン数はいったいいくつになるのでしょう?

手持ちの資料ごとにパッケージの情報が食い違っています。

  1. 1983年版 ALS/AS Logic Circuits Data Book
    • SN74AS888JD 64ピン Side-Braze DIP
    • SN74AS889FN 68ピン Plastic Chip Carrier
  2. 1986年改版のデータシート
    • SN74AS888GB 68ピンPGA
    • SN74AS888FK 68ピン Ceramic Chip Carrier
    • SN74AS888FN 68ピン Plastic Chip Carrier
  3. 1988年版 AS8xx/ACT88xxファミリー ビットスライス アプリケーションノート
    • SN74AS888 68ピンPGA(データシートではないのでサフィックス記載なし)

eBayなどで見かけるのはSN74AS888GBばかりですね。

(つづく)

参考文献・関連図書: 
SN74LS600A, SN74LS601A, SN74LS603Aデータシート, Texas Instruments.
SN54LS610, SN54LS612, SN74LS610 thru 74LS613データシート, Texas Instruments.
SN54AS888, SN74AS888データシート, Texas Instruments.
"ALS/AS Logic Circuits Data Book", 1983, Texas Instruments.
『AS8xx/ACT88xxファミリー ビットスライス アプリケーションノート』, 1988, Texas Instruments.

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