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パーソナルなコンピュータの補助記憶事情 (第5回:続フロッピーディスク)


前回は8インチと5.25インチについて書いたので今回は3.5インチからです。

3.5インチではコンパクト化とともに扱いやすさを向上しています。具体的にはケースがハードタイプになって折り曲げに強くしたことと、アクセス用の窓にシャッターが付いて埃の侵入を防止するようになりました。また誤った向きに挿入することもできなくなりました。やっと素人でも使えるようになったといえるでしょう。

  • 片面倍密倍トラック(1DD)
    ワープロ専用機や一部のパソコンで使われました。セクタ構成などが思い出せないのですが、320kB程度の容量だったはずです。
  • 両面倍密倍トラック(2DD) 256バイト/セクタ,MFM,16セクタ/トラック, 80トラック
    5.25インチのものと一緒です。
    PC-9801U等で使用されました。
  • 両面倍密倍トラック(2DD) 512バイト/セクタ,MFM,9セクタ/トラック, 80トラック
    512×9×80×2=737,280バイト、通称720kBと呼ばれていました。
    PCの世界で2DDといえばこれを指します。上記640kBとセクタ構成が違うだけなので、PC-9801シリーズでもソフトウェアのみでアクセスは可能です。
  • Macintosh 400KB(1DD)
    Macintosh独自のもので、変調方式がFMでもMFMでもないGCR方式なこと、トラックによってセクタ数が異なること、回転数も一定ではないこと等、他の方式とは互換性がありません。
    アクセスするためには対応したFDC,ドライブが必要です。
  • Macintosh 800KB(2DD)
    上記400KBを両面にしたもの。
  • 両面高密度(2HD) 256バイト/セクタ,MFM,26セクタ/トラック, 77トラック
    8インチ2Dとまったく同じフォーマットを3.5インチで実現したもの。5.25インチ同様、8インチ用のインターフェイスにそのまま接続するだけです。
  • 両面高密度(2HC) 512バイト/セクタ,MFM,15セクタ/トラック, 80トラック
    PCの5.25インチのフォーマットをそのまま3.5インチに適用したもの。日本独自と思われます。
  • 両面高密度(2HD) 512バイト/セクタ,MFM,18セクタ/トラック, 80トラック
    500kbit/sにもかかわらず回転数を300rpmに抑えて容量を増大したもの、PCでの標準です。
    512×18×80×2=1,474,560バイト、通称1.44MBと呼ばれます。これは最近までよく使われていました。
  • 両面超高密度(2ED) 512バイト/セクタ,MFM,36セクタ/トラック, 80トラック
    上記1.44MBの転送レートを倍にしてトラックのセクタ数を倍にしたものです。
  • 2TD 512バイト/セクタ,MFM,38セクタ/トラック, 240トラック
    PC-88VAシリーズ末期に使われたもので、他の採用例は聞いたことがありません。
    512×38×240×2=9,338,880バイト、9.3Mと宣伝されていました。
    トラック数が多いのが特徴で、ステッピングモータによるオープンループ制御では不十分だったらしくフィードバック制御を行なっています。

電気的には5.25インチと一緒なので、5.25インチで可能なフォーマットは3.5インチでも(一般的かどうかはともかく)使用できます。

他にも4インチ・3インチ・2.5インチ・2インチなどがありましたが、どれも普及にはいたっていません。
ちょっと変わっているのがソニーの2インチのものです。これは元々は電子スチルカメラ用に開発されたもので1トラックに1枚の画像をアナログで記録するというものです。後にディジタル記録もできるようになって一部のワープロに使われたほか、パソコン用のドライブもありました。

さて、テープから移行した頃はたとえ320kBでも容量に不満はありませんでした。速度も信頼性もテープよりはるかに上でしたし、何よりファイルのリストが簡単に表示できることが嬉しかったですね。
またテープはプログラムの保存くらいにしか使っていませんでしたが、データをファイルに入れるようになったのもディスクになってからです。

そのうちもっと大容量が欲しくなってきます。個人的に印象に残っているのはCP/M-68KでCコンパイラを使い始めた時に320kBのディスクを何枚も入れ替えながらでないとコンパイルできなかったこと、MS-DOSを使うようになってからは仮名漢字変換の辞書が1.2MBのディスクを圧迫するようになったことでしょうか。Windows 95などのインストールでは数十枚を入れ替えて行なったものです。少しでも枚数を減らそうと特殊なフォーマットを行なったインストールディスクもありました。1.44MB→1.68MBくらい容量を稼げていたかと思います。

フロッピーディスクは低レベルのところを弄れたので、工夫次第で容量を増やしたり、速度を上げたりいろいろできました。これを最も活用したのはコピープロテクトでしたけど。

さらに劇的に大容量化したものに、ZIP(100MB, 250MB, 750MB)やLS-120(120MB, 240MB)といったものも登場しましたが、普及にはいたっていません。


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