2018-04-01 17:42 — asano
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NTT技術史料館の展示は前回紹介したような加入者(ユーザ)の目に直接触れるものだけではありません。むしろ普段目にすることの無いものたちの方がメインといえるでしょう。
これは初期の自動交換機、ステップバイステップ方式の交換機に使われていたセレクタスイッチです。いい全景の写真がなかったのでスイッチ部分のアップです。
この上部に駆動装置があり、中央軸の左についている接点が上下に10段移動し左右にも10段階で回転します。これで1:100の切り替えが2回路(電話は片側共通ではないので2回路で1回線分)のスイッチになっています。電話機のダイヤルは戻る時に数字に対応した数のパルス(1なら1回、2なら2回、0なら10回)を発生しますが、1桁目のパルスで上昇し、2桁目で回転するわけです。11なら左下に30なら下から3段目の右端に接続されます。
100で足りなければさらに縦続接続でき、3桁目のパルスは次のスイッチを駆動することになります。
1台動作状態のものもあって実際にダイヤルして動くところも観察できたと思います。
これはその後登場したクロスバー式の交換機です。クロスバーというのは複数の縦の線の1本と複数の横の線の1本を交点で接続できるスイッチのことです。
ステップバイステップ式ではダイヤルからのパルスで直接駆動していましたが、クロスバー式ではリレーによる制御回路が使われています。
写真では左から2列目と右端のラックに入っているのがクロスバースイッチです。黒っぽいものは制御用にリレーです。
市外通話がダイヤルでできるようになったのがクロスバー式からのようですね。それまでは市外へはオペレータに繋いでもらう必要がありました。
それからダイヤルの回転が速くできるようになりました。比較的最近の電話機でも PB, 10, 20 の切り替えの付いているものがあります。PBはプッシュボタンでいわゆるピ・ポ・パ音を発生し、10と20はパルス式で外観がボタン式でも内部でダイヤル式と同様のパルスを作っています。ステップバイステップ式では1秒に10回までのパルスにしか応答できなかったものが、クロスバー式では20回まで対応しました。プッシュ式への対応もここからです。
その後リレーによる制御回路を半導体にした電子交換機も作られましたが、回線の接続自体はクロスバースイッチが使われました。
制御だけでなく通話自体もディジタル化した D60 中継交換機です。続いて D70 加入者交換機も作られました。
ここで加入者線もディジタル化したISDNへも対応しました。
このあたりからラックを見ても何が凄いのかよくわからなくなってきますが、内部の基板の一部が展示されています。
クロスバー式交換機の度数計です。加入者ごとの電磁カウンタが並んでいるだけなので人手で集計しなくてはなりません。
度数計撮影用カメラなんてものもありました。
ここでは交換機関係のもののみ取り上げましたが、無線基地局装置や直流電源・調整用の工具等の展示もあります。
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