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NEC PC-80S31K (分解編)


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前回のPC-80S31Kを開けてみましょう。

左側面
トップカバーを外し、左側面から見たところになります。

左側に見えている縦長のものは電源ユニットです。
右半分にはドライブユニットが見えています。ドライブ左上にはステッパ(モータ)があり、これはヘッドを移動するためのものです。ディスクを回転させるモータは反対側についています。フロッピーディスクを挿入して撮影しましたが、中央の「U」を横にしたような部分にディスクの窓が見えています。

右側面
右側にはコントロール基板がありますが、シールドされていて銀色の四角にしか見えません。右端にコネクタ部分の裏面が見えています。

これでは何もわからないので、シールドと基板を外します。

右側面 基板を外したところ
基板を外すと電源が見えてきました。電源は「Tokin」製のようですね。型番も「PC-80S31-PS」とそのものズバリです。

電源の右にぶら下がっているコネクタは基板に電源を供給するためのもの。右の黒からGND,+5V,+12V,-5Vです。-5Vは一体どこに使っているのでしょう?
手前に2本あるのは各ドライブへの電源です。電源はコントロール基板経由で供給されています。
左側のドライブユニットにはさらにシールド板が取り付けられていますが、外すのは大変そうなので今回はパスとさせてください。

電源との隙間から覗き込んだところドライブはTEAC製のFD-55BV-21というものでした。5.25インチの2D(両面倍密)のドライブでフォーマット容量320kBのものです。これが2台使われています。

コントロール基板 表面
上で外したコントロール基板です。

基板左端に2つ並んでいるコネクタは背面に出ていたCN1とCN2です。
左に見えているリボンケーブルはドライブへの配線で、この基板からそれぞれのドライブ行きのケーブルが出ています。普通は1本のリボンケーブルに両方のドライブを接続しますが、何故こうなっているのでしょう? このリボンケーブルは基板にハンダ付けされていて外すことはできません。
左上のP1は電源コネクタで先ほどの4ピンのコネクタが挿さります。隣のP2,P3はドライブへの電源供給のコネクタですね。これも各ドライブへの線は独立しています。

左下の40ピンのICがμPD8255AC-2、パソコン本体との通信用のパラレルポートになります。
その右のB6101C017は何らかのカスタムチップで詳細は不明。上のμPD765ACはFDC (Floppy Disk Controller)です。PCで一般に使われている(いた)FDCのご先祖様です。その上のB6102C022もカスタムで詳細不明です。
右列の下、μPD780C-1はZ80 CPUのNEC製のものです。上のμPD2364EC 192はマスクROM、このユニットのファームウェアですね。容量は8kBになります。
μPD780C-1の右上のIC16とIC17、μPD41416C-15は16k×4bitのDRAM、2つで16kBのRAMを構成しています。

主要なICを見てきましたが、電源のところで書いた-5Vを必要としそうなICはありません。2つのカスタムは仕様がわからないのでなんともいえませんが、時期を考えると可能性は低いと思います。
ここからは想像でしかありませんが、PC-80S31 (PC-80S31Kはこれの改良版です)ではRAMに-5Vを必要とする16k×1bitのものを使用していて、電源もそれに合わせて-5Vを供給していました。PC-80S31Kを設計するときには16k×4bitのDRAMが使えるようになっていたので採用し、電源は-5V無しのものを再設計するよりそのまま使う方が有利と判断され流用、といったことなのではないかなと。

さてこのディスクユニットにはすごい解説書がありました。参考文献として下に挙げているものがそうですが、コマンドの一覧はもとより、内部ルーチン(ROMのプログラムですね)の呼び出し方まで書かれています。
メモリは少ないものの独立したコンピュータなので、

  • 前回書いたS-DOS 80のようにメモリの退避場所に使ったり
  • 将棋等のルーチンを送り込んで本体と並列処理させたり
  • 特殊フォーマットのためのプログラムを送り込んだり

いろいろと活用されました。

参考文献・関連図書: 
坂本俊夫・玉川昌克・山内直(1983)『フロッピディスク活用ハンドブック PC-80S31』秀和システムトレーディング.

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