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あぷこん


今回取り上げるのは「あぷこん」、コンポジットビデオやS端子からの映像をVGAモニタに映すためのアップスキャンコンバータです。

あぷこん
ゲーム機もDVD・BD等の映像機器もHDMIが普通になった現在、あまり使い道がなくなってしまいました。

機能はビデオ・S端子の入力からのスキャンコンバータとVGA入力との切替です。

あぷこん 底面
底面にはラベルがありますが、VCCI・CE・FCCの安規関係とシリアルのみです。定格などはまったくありません。

あぷこん 前面
前面には切替のためのボタンがあります。
左でVGA入力が選択され、右でコンポジット・S端子の入力が選択されるのだと思いますが、「PC/VIDEO」「VIDEO」のラベルは何なのでしょう?
確かに扱う入力は全てある意味で「VIDEO」だし、コンポジット入力は一般には「VIDEO」以外の表記は無いのかもしれませんが、せめて「PC」か「VGA」(後述しますが端子には「VGA」と表記されています)とする発想は無かったのでしょうか?

あぷこん 左側面
左側面にはモニタへのVGA出力と電源(ACアダプタ)の入力端子があります。

あぷこん 背面
背面には入力端子です。

「VGA」はPCからの入力端子、PC用のモニタは当然PCに使っているわけで、これを繋いでも今までどおりPCも使えますよという配慮はありがたいのですが、なぜにオスなのでしょう。オス-メスの中継ケーブルという普通あまり使わないものが必要になるじゃないですか(付属品がアダプタしか見つからなかったので、もしかするとこのケーブルも付属していた可能性はあります)。
「S-VIDEO IN」はS入力、「VIDEO IN」はコンポジットビデオの入力端子です。この2つの切替操作は無いので自動認識と思われます。

せっかくなので、いつものように開けてみることにしましょう。

あぷこん 基板 表面
左の小さなQFPはPhilipsのSAA7111A Enhanced Video Input Processor (EVIP)です。Y/C (S端子)やCVBS (コンポジット入力)の同期分離やA/D変換に使っているようです。出力はYUVやRGBが選択可能です。
右のBt121KPJ80は3チャンネルのD/Aコンバータです。R,G,Bそれぞれ8ビット入力ですが、接続されているのはR:5,G:6,B:5の16本だけなので上記SAA7111Aの出力もおそらくRGB565なのでしょう。
上の小さな16ピンSOPはP15C3257Q Quad 2:1 Mux/DeMux Bus Switch、Bt121からRGB出力が繋がっているのでVGAとの切替に使用しているのだと思います。Quadなので同期信号も含めると足りませんが、こちらはロジックなので他で切り替えている可能性もあります。
右上に2つ並んでいるCS83LB01は残念ながらデータシートが手に入りませんでした。他にスキャンコンバートに関するデバイスが見当たらないこと、Bt121の入力16本がこれに接続されていることからラインバッファなのではないかと思いますが、詳細は不明です。

右下の2つのGAL16V8Dは懐かしいPLDですね。個人でも簡単に開発できると言うので一時はやりました。私もいろいろ調べたのですが、結局使いませんでした。いまではもっと高機能なPLDが使えるのでこれから使う可能性は低いですね。パッケージがDIPなのがちょっと魅力ですが。
左隣にはPIC12C509/Pがいますね。I²Cバスで設定する必要のあるデバイスがあるのでそれらの初期化に使っているのではないかと思います。そういえばPICマイコンも一時使おうかとしましたがこれも結局使いませんでした。私はAVR派です。

出土品」で紹介したものの大半は特に使い道も無くそのまままた仕舞いこまれるのですが、これは使えるかもしれないので試してみるつもりです。うまくいったらまた紹介しますね。

参考文献・関連図書: 
SAA7111Aデータシート, Philips.
Bt121データシート, Brooktree.
関連項目: 

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