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パーソナルなコンピュータのグラフィック事情 (第4回: 専用モニタ)


2回にわたりテレビに表示する話を書きましたが、やはり実用的に使おうと考えるとテレビではうまくありません。32桁×24行では文字数が不足ですし、滲みもひどく長時間の使用には向きません。

パソコン本体価格がある程度以上の機種では専用モニタの使用を前提に、テキスト表示が40桁×25~80桁×25程度のものが多くありました。1文字は8×8ドットが普通でしたから640×200ドットに相当しますが、まだメモリが高価でそれだけのグラフィック機能はつめません。やはり1文字のエリアをいくつかのタイルに分割するセミグラフィックが主流でした。

この頃の代表機種としてNECのPC-8001とシャープのMZ-80Kについて説明したいと思います。

PC-8001のテキスト表示は最大で80桁×25行表示、文字色は8色から選べ背景色は黒に固定でした。この表示のためにメインメモリから約3kBが使われます。セミグラフィック表示は文字フォントの代わりに2×4分割したタイル(文字コードは8ビットなので8つのタイルのOn/Offを表現できます)を表示します。色は文字単位で黒ともう1色が使用可能、また文字単位でテキストとセミグラフィックを混在させることもできます。

実際にはもう少し制限があったのですが、ややこしくなるので省略します。

ということで色の付け方には制限がありますが160×100ドットのセミグラフィックが使えました。

MZ-80Kのテキストは40桁×25行でカラーは使えません(モノクロモニタを内蔵していました)。セミグラフィックは1文字を2×2のタイルに分割します。この組み合わせは16通りなので、256ある文字コードのうちの16(240~255)をセミグラフィック用に使います。
これで80×50のセミグラフィックとして使えました。後にMZ-1200MZ-700シリーズからカラーが使えるようになりましたが、色指定は1文字単位なのでドット毎に色指定をすることは出来ません。

このように機種ごとに解像度も各種制限も大きく異なっています。画面デザイン等もこの制限を考慮した上で決定する必要があり(場合によっては横向きにすることも)、ある機種用に作ったソフトウェアを他の機種に移植するのは容易ではありませんでした。

ちなみにこの頃の専用モニタは「専用」といってもテレビに近いもの、水平同期周波数も15.7kHzと一緒です。
では何が違うかというとテレビには必須のチューナ→Y/C分離→RGBに変換までをなくして、直接RGB入力可能になっている点です(カラーの場合)。当時RGBはまだTTLレベル(ディジタル)なので8色しか表現することはできません。モノクロの場合は輝度信号をアナログで入力するため輝度は自由ですが、カラー用の8色をそのまま8階調で出力するのが普通でした。

価格はモノクロ(グリーンまたはアンバー含む)で5万円前後、カラーで10万~20万円ほどでした。10万円未満の本体に専用モニタの組み合わせることは少ないと考えられ、低価格機はテレビ接続の時代が続きます。またPC-8001にもオプションでテレビへ接続することも可能でした(その場合は80×25では字が読めないので40×25に切り替えます)。

テレビより構成要素が減っているのに高価なのは納得のいかないところですが、数の問題とちょっといいブラウン管を使っているという理由でしょう。RGBを直接注入できるようにテレビを改造した人も少数ながらいたようです。


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