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HP 1820-1692


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Twitter で存在を知って調べてるうちに、面白そうだ... 欲しい... 買おう... となって買ってしまいました。


HPの1820-1692、他にクロック(と電源電圧)の異なる1820-1691というのも存在します。

以前取り上げた1820-2151のような他社品のHP型番ではなく独自デバイスのようです。製造を他社に委託している可能性はありますが...

User's Guideを読んでいくとハード的にもソフト的にもかなり変わったプロセッサであることがわかります。

まずはハードウェアの特徴から。

  1. 電源
    まず電源ですが、VGG = +9 or +12 V , VDD = +5V , VBG = -2 ~ -5 V の3電源が必要です。電圧が2つ並んでいたり、幅があったりしてなんじゃこりゃですね。
    まずVGGは1820-1691では+9V、高速版の1820-1692では+12Vを供給します。
    問題はVBGで、バラつきが大きかったらしくUser's Guideには電圧はパッケージに記載とあります。修理などでプロセッサを交換したら電圧を新しいものに合わせて変更しろということです。
    電源を与える順序も規定されているので電源回路はかなり面倒そうです。
  2. クロック
    NMOSですがOFF時間が最大∞とあるのでクロック停止もできるようです。
  3. メモリバス
    ROM内蔵ではないので外部にROMを接続する必要があり、そのためにアドレスPA0PA10とデータD0D7、読み込みタイミングを示すPSGが用意されています。
    書き込み信号は無いのでRAMを接続することはできません。
  4. I/O
    I/Oアドレスは上記とは別のDS0DS3に出力され、データバスはROMと共通です。アドレス1111(2)はI/Oアクセス無しを表すので入出力ともに15ポートまでです。
    さらにDC0DC6の7本がGPIOのように使用可能です。

ソフトウェアについてはさらに特徴的なものとなっています。

  1. 算術演算命令
    まず驚くのは乗除算はおろか加減算命令も無いことです。INC/DEC(2進およびBCD)はできますが、あとは大小比較・ビット操作やシフトなどが行える程度です。どうしても加減算などが必要なら外部に74LS181などのALUを接続しろとあります。ちなみにテーブル参照も困難です。
  2. RAM
    ハードウェアのところで書いたように外部にRAMは付けられません。それでは内蔵しているかというと、8ビットのレジスタが16あるのみです。どうしても必要ならALU同様I/O空間に付けるしかありません。
  3. スタック
    ではスタックはということになりますが、サブルーチン用が1段・割り込み用が1段用意されているのみです。多重呼び出しなどはできませんし、RTI/RTS系の命令以外で読むこともできませんので自分で拡張することも無理です。
  4. テーブル参照
    アドレスを指定してROMを読むこともできません。命令表を読むとLDR Load accumulator with ROM data などがありますが、これは他のプロセッサでいうところのイミディエイト命令のことです。どうしても必要ならインダイレクトジャンプはできますので...

これではさすがにUniversal Monitorの移植も無理ですね。

参考文献・関連図書: 
LID Nano Processor User's Guide, A-5955-0331-1, Hewlett Packard.
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