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Hitachi HD641016


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今回取り上げるのはある有名なプロセッサファミリの兄貴分にあたるプロセッサです。こちらは残念ながら弟と違って無名なまま終わってしまいました。

HD641016CP8
これは日立のHD641016CP8、その8MHz版です。他に10MHz版の写真を見たことがあります。

マニュアル等を見るとMC68000によく似ています。ハードウェア(バス)もソフトウェアもMC68000を知っている人ならそう苦労せずに理解できると思いますね。残念ながら似ているだけで互換性はありません。

一方でMC68000が少なくとも当初は汎用計算機を志向していたのに対し、こちらは組み込み用途を想定しているらしく相違点も多くあります。

  • シリアル・タイマ・DMAC等の周辺デバイスを内蔵していること
  • 1024バイトのRAMを内蔵していること・その一部または全部をレジスタバンクとして使用できること
  • DTACKによるハンドシェイクからWAITに変わっていること
  • クロック発振器やリフレッシュ・ウェイトコントローラ等も内蔵していること

外部回路を極力減らせるように配慮されているのがわかります。ROMだけ付ければ最低限動かせそうです。

ところでこれにはHD641016という型番以外に「H16」という呼び名もあります。写真のものにはありませんが、「H16」のマーキングのあるものもあるようです。

そう、あの「H8」が8ビットのもので他に16ビットの「H16」と32ビットの「H32」というものもあったのです。

H8は広く使われ、「H8」の名前のまま16ビット版や32ビット版も作られ大きなファミリを形成しています。おそらく日本独自のアーキテクチャで最も成功したものの一つでしょう。

一方、H16はこのHD641016以外には作られていないようです。

H32もあるので近いうちに取り上げますね。

2017年9月29日追記:
HD642032 (H32)を載せました。
参考文献・関連図書: 
川村雅則(1989)「シングルチップ・マイコンH16の特徴と概要」,『プロセッサ』1989年1月号,技術評論社.
安藤正晴・倉員桂一・金子進(1988)「16ビットマイクロプロセッサ"H16"とその応用」,『日立評論』1988年12月号,pp.17-24,日立評論社.
本間和彦ほか(1988)「H16及びH32シングルボードコンピュータ」,『日立評論』1988年12月号,pp.101-106,日立評論社.

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