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Hitachi HD642032 (H32)


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昨日、「近いうちに」と書きましたがやはり忘れないうちに載せることにしました。

HD642032Y20
日立のHD642032Y20、パッケージはセラミックPGAで20MHz版です。「H32/200」の表記もありますね。

これの資料は実はあまり持っていません。ネットで探してもデータシートの類がまったくと言って良いほど出てこないのです。
仕方が無いので国会図書館で当時の雑誌記事を探し、何とか必要最小限の情報を集めました。

これでお試しで動かしてみるくらいはできそうです。
データシート無しにマトモな設計はできませんが、動作した回路例があればその条件内で使えばよいのです。もちろんパフォーマンスは期待できません。
でも1980年代には個人でデータシートを入手するのが大変だったのでので、こんな方法で製作した人は多かったと思います。私が昔作ったボードもZ80ボード 3号機まではそうでした。MC68kボードでもメモリモジュール等一部の部品は資料無しでしたし、DRAMコントローラのMB1422Aは買ったときに店が付けてくれた数枚のコピーが全てでした。

さてこのH32ですが、ハードウェア的には32ビットのデータバスとアドレス空間(バイトアドレスなのでアドレスバスは30本)を持つ典型的な32ビットのプロセッサです。MMUやコプロセッサインターフェイスを内蔵しており、ワークステーション等の汎用計算機向けであることがわかります。
バスサイジングは無いようなので、お試しでも8ビットバスでお茶を濁すわけにはいかず面倒そうです。

ソフトウェア的にはまだざっと読んだだけですが、いくつか面白い特徴がありました。

  • ビットフィールド命令の整合のためかMSBがビット0になっています
  • 文字列処理やキュー操作等の複雑な命令を持っています
  • データ・アドレスともに64ビットへの拡張が考慮されています

なかなか興味深いプロセッサでしたが、まったく普及しませんでしたね。

このHD642032, H32/200にはもう一つ名前があります。それは「GMICRO/200」というもの、あのTRONチップです。

裏側
裏を見るとピンは曲がっているし、角のピンには円盤のようにハンダか何かが付いています。基板から剥がしたもののようです。

生きているのかなぁ? 32ビットのバス配線後に死んでいるのがわかったらショックです。

参考文献・関連図書: 
松澤泰生・浅上浩明・三科大介(1988)「TRON仕様に準拠したマイクロプロセッサ H32/200 (Gmicro/200)」,『電子技術』1988年6月号,pp.102-108,日刊工業新聞社.
稲吉秀夫ほか(1988)「32ビットマイクロプロセッサ"H32"ファミリー」,『日立評論』1988年12月号,pp.25-30,日立評論社.
本間和彦ほか(1988)「H16及びH32シングルボードコンピュータ」,『日立評論』1988年12月号,pp.101-106,日立評論社.
藤沢秋康(1990)「TRONボード計画 1」,『I/O』1990年2月号,pp.209-220,工学社.
藤沢秋康(1990)「TRONボード計画 1-2」,『I/O』1990年3月号,pp.163-206,工学社.
藤沢秋康(1990)「TRONボード計画 2-1」,『I/O』1990年4月号,pp.249-260,工学社.
千葉憲昭(1993)『TRON仕様チップ活用法 32ビット・マイクロプロセッサGmicroのすべて』工学図書.
関連項目: 

コメント

無事、届いたとのことで良かったです。
TRONCHIPは、昔、雑誌TRONWAREで概要は読んだ記憶があります。
今もバックナンバーが買えるTRONWARE Vol100の付録DVDに、過去記事がすべて掲載されているようです。

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