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GI CP-1600A


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また買ったまま忘れていたデバイスです。最近ブレッドボードで動かそうとされている方がいて思い出しました。


General InstrumentのCP-1600A、1982年48週の製造のようです。

Texas Instrumentsの方は「s」が付いて複数形で、こちらはGeneral Instrumentと単数形なんですね。

GIというとテレビゲーム用のAY-3-8500-1AY-3-8605を以前取り上げましたし、昔のパソコンに詳しい方ならAY-3-8910 PSGを懐かしいと感じるかもしれません。AY-3-1350などというオルゴールのICもありました。

これはそのGIが作ったマイクロプロセッサです。ミニコン風の16ビットプロセッサということでなんとなく敷居が高そうですが、同じファミリのCP-1610は何とこともあろうに家庭用テレビゲームに大量に使用されました。この時一緒に使われたのがAY-3-8900, AY-3-8900-1 STIC(Standard Television Interface Chip)とあのAY-3-8910 PSG(Programmable Sound Generator)です。他に専用のROM/RAMもあったようです。

AY-3-8910は制御信号として一般的なRD, WRなどではなく、謎のBDIR, BC1, BC2を使っていましたが、このCP-1600系の信号だったんですね。

話をCP-1600Aに戻すと、バスはアドレス・データともに16ビットで当然のことながらマルチプレクスバスです。アドレスラッチなどの信号はBDIR, BC1, BC2をデコードして作らなくてはなりません。面白いのはADAR(Addressed Data to Address Register)というメモリから読んだ値をそのままアドレスとしてラッチする操作があること、サイクルを節約できますがデコードはちょっと面倒そうですね。

メモリアクセスは常に16ビットワード単位でアドレスもワードに対して振られているのでメモリ空間は64kワード=128kBということになります。

COSMACのEFnによるBn, BNnのような外部条件による分岐もありますが、これもちょっと変わっていて命令の下位4ビット(ここで条件を選択する)が出力されているのでこれを外部でデコードして分岐の有無を返すようになっています。外部回路はちょっと面倒ですが5本の信号線で16通りの条件が使えます。

電源は+5V, +12V, -3Vの3電源、-3Vというのはどこかで見たことがあると思ったらPanafacom MN1610でした。

クロックはオーバラップしない2相のものが必要で、電圧レベルもVILCが0.5V以下 VIHCが10.4V以上と大振幅を要求します。条件的には8080に近いので8224が流用できると楽なのですが、どうでしょう?


裏側には詳細不明のマーキングがあります。

ピンはマニュアルの図ではパッケージ下面に付けられているように見えますが、現物は一般的なSide Brazed DIPです。参照したマニュアルは1975年のものなので途中で変更されたのかもしれません。

参考文献・関連図書: 
"CP-1600 Microprocessor Users Manual", S16DOC-CP1600-04, General Instrument.
”Microelectronics Data Catalog", 1982, General Instrument.
Kasumi YOSHINO(2021)『CP-1600の本 アーキテクチャ概説と命令セット』

コメント

出力にプルアップすれば動かない理由はないかなぁ。ただ 2.2MHz ぐらいまでしか巻けないし……
吉野さんのようにオープンコレクタで頑張っても仕様は満たさないので、若松で持て余している模様の SN75365 でも使ってみるとか。
#波形的には MicroNOVA mN601 が近いです。周波数も近いし。

あとは絶対最大定格に余裕があるのでVddをちょっと上げるという手も。
まぁ8224は高圧ドライバの入っているデバイスとして真っ先に思いついただけなのでこだわるつもりはありません。

SN75365ですか。確かに若松さんに大量の在庫があるみたいですし、値段も手頃ですね。
試してみようかな。
面白い石を紹介いただきありがとうございます。

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