2016-12-14 22:54 — asano
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ヤマハのV9958です。E-VDP-IIとも呼ばれています。
このV9958はMSX2+に用いられたVDP (Video Display Processor)です。MSXに使用されたTIのTMS9918、MSX2に使われたヤマハのV9938に続くディスプレイ制御ICになります。
TMS9918は家庭用テレビに表示するための最小限のモノ、スプライト機能等がありますからゲームを志向していたのは間違いないでしょう。
V9938ではRGB出力やカラーバスが追加され、専用ディスプレイも視野に入ってきています。また簡単なものではありますが一種のアクセラレータ的な機能も付加されています。
V9958では部分的な改良にとどまっている印象です。テクニカルデータブックも差分しか書いていないというやる気の無さです。あとコンポジットビデオ出力やライトペンの機能が削除されてしまいました。
このシリーズの特徴は、VRAMとしてはDRAMを接続するだけ、ビデオ出力もトランジスタによるバッファのみで映像機器と接続できる、と外部回路無しでビデオ出力が実現できます。高校時代にV9938によるビデオボードを製作したことがありますが、主要部品はCPUとのインターフェイスに74LSxxのTTLが数個とV9938、DRAMが4個とトランジスタ1石の出力バッファ程度だったと記憶しています。
このデバイスはDIPですが、ピン間隔が通常の100mil (2.54mm)ではないので一般のユニバーサル基板には実装できずピッチ変換基板が必要なのですが、変換基板の余白にDRAMなどを並べて済んでしまったはずです(CPUインターフェイスはパソコンの拡張ボード側に搭載しました)。
残念ながらこのときのボードはデバイス資料とともに誰かに貸したまま行方不明となってしまい、手元にはありません。
このシリーズには以下の画面モードが存在します。
モード | Char | Text | Pixel | Col | Sp | VRAM | 9918 | 9938 | 9958 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
TEXT 1 | 6×8 | 40×24 | (240×192) | 2/512 | n/a | 4kB | Yes | Yes | Yes | |
TEXT 2 | 6×8 | 80×24 | (480×192) | 2/512 | n/a | 8kB | No? | Yes | Yes | Blink使用時には4色 縦を26.5行(212pixel)も可 |
MULTICOLOR | 64×48 | 16/512 | 1 | 4kB | Yes | Yes | Yes | |||
GRAPHIC 1 | 8×8 | 32×24 | (256×192) | 16/512 | 1 | 4kB | Yes | Yes | Yes | |
GRAPHIC 2 | 8×8 | 32×24 | (256×192) | 16/512 | 1 | 16kB | Yes | Yes | Yes | |
GRAPHIC 3 | 8×8 | 32×24 | (256×192) | 16/512 | 2 | 16kB | Yes | Yes | Yes | |
GRAPHIC 4 | 256×212(192) | 16/512 | 2 | 32kB | No | Yes | Yes | |||
GRAPHIC 5 | 512×212(192) | 4/512 | 2 | 32kB | No | Yes | Yes | |||
GRAPHIC 6 | 512×212(192) | 16/512 | 2 | 64kB | No | Yes | Yes | 1画面64kBだが128kB実装している必要あり | ||
GRAPHIC 7 | 256×212(192) | 256 | 2 | 64kB | No | Yes | Yes | 1画面64kBだが128kB実装している必要あり V9958ではYJK方式使用可 |
GRAPHIC 4~7では2画面を偶数フィールドと奇数フィールドにする(つまりインターレース)ことにより垂直解像度424にすることも可能です。
YJK方式は自然画用に色差情報の解像度を下げて少ないメモリで発色数を増やす技術らしい(詳細はわかりません)です。
GRAPHIC 1~3は「グラフィック」とは名ばかりで(確かにグラフィック表示できますが)仕組みとしてはテキストモードを無理やり拡張したようにしか見えません。自分でいじったことは無いので誤解でしたらすみません。
私は主にGRAPHIC 4~7で使っていました。それも解像度目当てにGRAPHIC 6をインターレースにして512×424か、色数目当てにGRAPHIC 7で256×212です。GRAPHIC 7ではレイトレーシングの表示にも使ってみました。とはいえ256色ではR,G,Bそれぞれ2~3bitでグラデーションがお話にならないわけです。どこかのレジスタで白黒モードにすると32階調のグレー表示にできるのでそれで表示していました。これなら5bitあるのでそれなりに見られるものになります。
あと当時入手できなかったのですがSONYからV7010, V7020, V7030, V7040というデバイスがあって、静止画キャプチャやスーパーインポーズもできたはずなんです。最近 AliExpress で買えるらしいことがわかったのでちょっと迷っています。いまさらNTSCのキャプチャできてもしょうがないんですが、宿題を済ませたいというかなんというか。あっ、データシートは入手できるでしょうか?
PC-8001mk2ユーザだったのでグラフィック機能にはいろいろと不満があったのでこのシリーズに手を出したのですが、やはり当時のパソコンで標準的な640×400表示ができなかったこともあり解決にはなりませんでした。そしてより本格的なACRTCを使ったボードの検討に進むことになるのです(実現しませんでしたが)。
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