2017-03-12 17:34 — asano
今回出てきたのはソノシートです。
最近の人にはわからないかもしれないので簡単に説明すると、柔らかい素材で作られたレコード盤です。安価に製造できるのと、柔軟性があって曲げられるので、雑誌の綴じ込み付録によく使われました。
これはパソコン雑誌「PiO」の1986年4月号の付録の円形のソノシートです。紙の封筒に入っていて、封筒が雑誌に綴じ込みになっていました。
元々はレコードの一種なので当然ながら音楽・音声のためのものなのですが、パソコン雑誌の付録ではプログラムの配布用です。当時はゲーム等のソフトウェアのダンプリストが掲載された雑誌が多くあり、ソフトウェアが欲しい人はそれを手入力するといったことが行なわれていました。プログラムサイズが大きくなると入力には手間がかかるので、何とか自動で入力する方法が考えられ、特殊なパターンで印刷してスキャナで読み取る(2次元バーコードみたいなもの)なんてのもありました。
市販のソフトウェアはカセットテープで流通していましたが、カセットを付録にはできません。そこでテープに録音する代わりにレコードにしたのがこのソノシートなのです。レコードプレーヤの出力をパソコンのカセットインターフェイスに接続して用います。
円形の他にこのような四角形のものもありました。これも封筒が綴じ込まれていました。同じく「PiO」の1986年1月号の付録です。
封筒ではなく樹脂のシート自体が綴じ込みになっていて、ミシン目で切り離すタイプのものもありました。これは当然四角形です。
色はここに挙げた緑色以外に赤や青のものもあります。
それではこれで入力が楽になったかというと、そうでもなかったというのが正直なところです。そもそも掲載されているすべてが収録されているわけではない上、読み込みエラーが多くて大変でした。
まず流通の過程で反ってしまっていることが多く、平らな場所で重しをするなどして矯正しないといけません。また小さなゴミなどで「ポツッ」というノイズがあると駄目です。何度も繰り返しているうちに溝が変形してくることもありました。レベル調整も必要です。
運よく読めたらカセットテープに保存しておきます。
この数年後にはCD-ROMを雑誌の付録にする(当初は流通のトラブルもありましたが)ことが始まりますので、ソフトウェアの配布に使われた期間は短いですね。
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