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パーソナルなコンピュータのプロセッサ事情 (第9回: 32ビット、そして64ビットへ)


さらに32ビット、そして64ビットの時代になっていきます。それまで外付けだったMMU (Memory Management Unit)やFPU (Floating Point Unit)なども内蔵されるようになります。

Intelのプロセッサも80286に続いて32ビットの80386, 80486, Pentium, ...と発展していきます。
採用するPC・パソコンも80286の頃からの機種の後継機はもちろん、次のようなものにも採用されました。

  • 富士通 FM-TOWNS
    80386からの採用なので少なくとも80386を積んでいることが保証されるため、32ビットモードを活用するソフトウェアが普及しました。
  • Apple Macintosh
    MC68000系→PowerPCと発展してきたMacintoshも最後にはIntelプロセッサを採用しました。
  • Sun Microsystems Sun386i, Sun486i
    パソコンとは呼べませんがSunのワークステーションにもIntelの80386, 80486搭載のものがありました。その後64ビット時代になってもXeonサーバなどが発売されています。

Intel以外にもAMD, IBM, Cyrixなど多くのメーカが互換プロセッサを出していました。一部は今でも供給しています。
Windowsが実用的になったのも80386以降です。また386bsd, FreeBSD, NetBSD, OpenBSD, Linux, BSD386といったUNIX(厳密にはUNIXを名乗れないものも含んでいますが)が使えるようになったのもここからです。

Motorolaも32ビットのMC68020, MC68030, MC68040, MC68060を出していました。
これはMacintosh, X68030などのパソコンにも使われましたが、UNIXワークステーションへの採用が多かったですね。

  • Apple Macintosh II(68020), SE/30(68030), Quadra 900(68040)など
    PowerPCに移行するまで使われました。
  • シャープ X68030 (68030)
    68030を最後にシリーズ終了となりました。
  • Sun Microsystems Sun-3 (68020,68030)
    Sun-1はMC68000、Sun-2はMC68010を使っていたようです。Sun-4ではSparcになりました。
  • ソニー NEWS (68020,68030)
    一部の機種ではI/Oプロセッサ用にもう一つ、計2個を搭載していました。

MC680x0シリーズはMC68060が最後となりました。

ZilogもZ8000を32ビット化したZ80000を出していましたが、パソコン・ワークステーション等への採用例は残念ながら知りませんし、自作記事も記憶にありません。

National SemiconductorはNS32032, NS32332, NS32532を出しました。このシリーズもNS32532で最後となり、その後はプリンタ等の組み込みに使われていました。
NS32532で特筆すべきはPC532でしょう。これはオープンハードウェアのプロジェクトで、100台以上が製造されたそうです。OSとしてはMINIXとNetBSDが移植されました。

日本独自のプロセッサもありました。

一つはNECのV60, V70, V80です。V20~V50(V53なども含む)までは8086/8088の拡張でしたが、これは独自アーキテクチャです。V60, V70にはV20, V30のソフトウェアを実行できるエミュレーションモードがありました。
NECからPC-9801のC-Busに挿すV60ボードとそれ用のPC-UXのセットが発売されていました。

もう一つはTRONチップです。日立・三菱・富士通などが開発に当たっていました。前にここでも日立のHD642032を取り上げました。
I/O誌にボードの製作記事が掲載されていました。

参考文献・関連図書: 
稲吉秀夫ほか(1988)「32ビットマイクロプロセッサ"H32"ファミリー」,『日立評論』1988年12月号,pp.25-30,日立評論社.
藤沢秋康(1990)「TRONボード計画 1」,『I/O』1990年2月号,pp.209-220,工学社.

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