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TR4941(分解編 その3)


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やっと心臓部のROM周りです。

まず最初にROMソケットを見ておこうと思います。


定番中の定番、3MのTEXTOOLが使われています。

が、それだけではありません。

TL866Aのような最近の安いライタではソケットが直接基板にハンダ付けされていますが、高級機では基板にリセプタクルをハンダ付けしてその上にソケットを載せる構造になっているものがあります。ソケットのソケットのようなもので、ガタが来たソケットを交換できるようになっています。

これもそうなっていました。

それではROMソケット周辺の部品を見ていきます。


これは前回と同じ基板全体の写真です。

ここからそれらしいデバイスを見ていきます。

まずソケットの右と下に5つあるSIP、これらはμPA54HとμPA64Hでした。これらは6素子のダイオードアレイ、違いはアノードコモンかカソードコモンかです。ソケットの上にもバラのダイオードが並んでいます。

ソケットの下には4回路のコンパレータLM339Nも2つあります。近くに電圧調整用のVRがあるから電源のレギュレータ用のような気がしますが、ならもっと電源寄りに配置するような気も。

そこから少し右に行くと8ピンのSN75476Pがあります。高耐圧のオープンコレクタのドライバみたいですね。VPPとの共用ピンのドライバかも、パターン追っていないので何とも言えませんが。

すぐ右上のFT5702MはNPNトランジスタアレイのようなのですがデータシートが見つかりません。位置的にROM電源(VPP含む)のスイッチではないかと予想しているのですが...

当時20万円ほどした機種ですが、こうしてみると意外とTL866Aに似ているようにも思えます。むしろTL866Aの方が対応ROMが多いので電源の切り替えなど複雑なはずです。

ROMライタ(特に対応デバイスが多いもの)で面倒なのは次のようなことです。

  1. デバイスによって電源ピンを切り替えること
  2. VPPとロジック共用ピンの扱い
  3. 真面目にVCCを切り替える場合はROMの出力ピン(データ)のロジックレベルの扱い

このTR4941の場合、1.は24ピンROMと28ピンROMでVCCを切り替えるだけで済みます。

2.は22ピン・23ピン(28ピンとして数えた場合)の2本だけです。このピンはライタ→ROM方向だけなのでまだ助かっています。SN75476Pはここに使っているのではないかと推測しています。

3.はレベルが変わるといっても-5%~+20%なのでダイオードクランプしているのではないかと想像します。

TL866Aを含む最近のライタでは多数のピンに対して1., 2.が可能になっていて(究極的には全ピン対応すれば)後からソフトウェアのアップデートで新デバイスへの対応がかなり自由にできるはずです。その場合各ピンごとにVCC, GND, VPPへの接続やロジック入出力が出来なくてはなりません。そのあたり何かうまい方法が無いか知りたくてROMライタを覗いているのですが、なかなか...

参考文献・関連図書: 
μPA54Hデータシート, NEC Electron Device.
μPA64Hデータシート, NEC Electron Device.
SN75476~SN75478データシート, Texas Instruments.

コメント

ROMライタを自作したときに調べた事があります。
1。 ドライバ側は5Vのツェナーダイオードでクランプ、ROMピンとの間は数KΩの抵抗で接続
2。 ドライバ側は抵抗でプルアップ、ROMピンとの間にダイオードで接続してROM側は抵抗でプルダウン
3。 ドライバ側とROMピンの間にリレーを接続してVpp電圧を掛けるときは切り離す

1と2の回路で試しましたが、2はダイオードの順方向電圧降下の影響が避けられず1の方式で作りました。

以前1の変形(ツェナーではなく普通のダイオードでVccにクランプ)で計画したことがありますが、安いライタを買ってしまって結局作るまでには至りませんでした。

2は確か特殊電子回路(株)のなひたふさんが昔自身のサイトで紹介されていましたね。

3は強引な気もしますが、GNDの切り替えなんかには良さそうです。今ならフォトMOSリレーでしょうか。

ROMからの入力が不要なピンなら「高耐圧オープンコレクタとプルアップの組合せ」という手もありかな。

対応デバイスを増やそう(特に24/28/32ピンの27xx系以外に)とするとあちこちのピンで必要になるので、シンプルに済ます方法が実はあったりしないかな、と期待しつつ開けています。

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