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パーソナルなコンピュータのプロセッサ事情 (第7回: 16ビット時代へ)


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第3回で取り上げたMN1610も立派な16ビットプロセッサでしたが、一般的に16ビットのプロセッサとして認知度が高いのは今回取り上げるトリオでしょう。

Intelが8080, 8085の後継として投入したのが8086です。8080/8085との直接の互換性はありませんが、アセンブラソースレベルでの変換ツールは用意されていました(MC6800⇒MC6809に似ています)。約一年後に内部はそのまま外部バス幅を8ビットに変更したのが8088です。
8086はPC-9801シリーズ(VシリーズでV30に変更されるまで)に使われ8088はIBM PCに採用されたことで有名になり、現在のx64に続いていると言えるでしょう。他にも多くの採用例があります。

  • IBM PC, XT (8088)
  • NEC PC-9801シリーズ(VシリーズでV30に変更されるまで) (8086)
  • NEC PC-100 (8086)
  • 富士通 FM-11シリーズ(一部) (8088)
  • 富士通 FM-16Π (8086)
  • シャープ MZ-5500シリーズ, MZ-6500シリーズ (8086)
  • 東芝 PASOPIA16, PASOPIA1600 (8086)

NECが拡張したV30(μPD70116)、さらに周辺デバイスを加えたV50(μPD70216)、8086に命令を追加して周辺デバイスを加えた80186、といったさまざまな派生プロセッサがありそれらを採用したものもあります。

OSとしてはCP/M-86, MS-DOS(PC-DOS), DR-DOSなどが一般的です。MINIXも初期のバージョンは8086で動きました。

Intelが8080/8085からの移行のし易さを重視したのに対し、Motorolaはここでもしがらみを捨て理想を追求してMC68000を投入してきました。マニュアルの表紙にも「Break away from the past.」(過去からの決別)とあります。

  • Apple Macintosh (初期の一部機種)
  • Commodore Amiga
  • シャープ X68000

以上のようなパソコンに採用された他、メガドライブにも使われていたので知らずにお世話になった人も多かったはずです。マニア好みだった上に採用例が少なかったので自作レポートの記事もよく見かけました。

汎用OSとしてはCP/M-68k, OS-9/68000がありましたが、上記パソコンでは独自OSが搭載されました。自作の場合はCP/M-68kを使う例がほとんどでした。

8ビットのZ80で大ヒットを飛ばしたZilogが作ったのがZ8000(セグメント対応のZ8001と非対応のZ8002)です。
残念ながらZ80のヒットから一転、採用例があまり見つかりません。

  • Olivetti M20
  • ヤマハ YIS PU-1-20 (グラフィックコントローラとして)

OSはCP/M-8000がありました。他CPU向けのCP/Mは特定の機種を想定しない形で提供でしたが(それを各パソコンメーカが自社製品向けに変更して提供する)、このCP/M-8000だけは上記M20向けしかなかったようです。

参考文献・関連図書: 
モトローラ(1984)『M68000マイクロプロセッサ ユーザーズ・マニュアル』CQ出版社.
「新製品 YIS」,『I/O』1982年2月号,p.191,工学社.

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