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Zilog Z280


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幻のプロセッサZilog Z280を手に入れました。

Z280 MPU
Z8028012VSC、Z280の12MHz版のPLCC8468パッケージ品です。

このZ280は使用例を聞かないデバイスで、もちろん汎用パソコン等への採用例も聞いたことがありません。
確か1987年頃に発売開始だったと思うのですが、写真のモノで1993年製、ネットでは1996年製の写真も見たことがあり、使われなかったわりには意外と長く製造していた印象です。

2019年1月7日 追記:
一つずつ製造年確認したところ、一緒に買った中に1996年製のものも含まれていました。Z280ボードではそれを使用しています。

このデバイスの元になったZ80 CPUは広く使われたため、他社も含めて多くの「改良版」が作られました。主な改良点とZ280の対応を挙げてみます。

  1. 高速化
    周波数を高め、命令の必要サイクルを減らして高速化したものがあります。
    例えば川崎製鉄のKL5C8012やKL5C8016などはクロックを10MHz以上に高めた上に命令の必要クロックが最小1クロックとなっています。オリジナルのZ80換算で約40MHz相当ということだそうです。
    Z280: クロックは12MHz(さらに高いものがあるか不明)まで上がっていますが、命令の必要クロックは大差ないように思えます。キャッシュメモリが内蔵されています。
  2. メモリ空間拡大
    MMU(やバンク切り替え機能)を搭載することで64kBを越えるメモリをアクセス可能にしたものがあります。
    例えば日立のHD64180は1MBの空間をアクセス可能になっています。
    Z280: MMUを内蔵し16MBの空間をアクセスできるようになっています。
  3. 周辺デバイス集積
    DMACやSIOなどよく使われる周辺デバイスを内蔵して少ないチップでシステムを構成できるようにしたものがあります。
    例えば東芝のTMPZ84C015にはZ80純正のCTC, PIO, SIO互換のものを内蔵していますし、上のHD64180ではUART×2, タイマ, DMACなど(日立独自のものです)を内蔵しています。
    Z280: タイマ×3, DMAC(4 Ch.), UARTを内蔵しています。
  4. 命令の追加
    乗算命令等が追加されたものがあります。
    やはり日立のHD64180には乗算とスリープ、内蔵ペリフェラルのアクセス用のI/O命令が追加されています。
    Z280: 大規模な拡張が行われています。乗除算命令、相対分岐命令の拡張、アドレッシングモードの拡張、などなど

Z280ではさらにこんな改良も行われています。

  1. 特権モードのサポート
    MMUと組み合わせることでOSとユーザプログラムのエリアを分離し保護することができます。
  2. Z-BUSのサポート
    Z-BUS(Z8000のバス)に対応することでデータバス幅を16ビットにすることができます。キャッシュへのバーストロードも可能になります。
  3. コプロセッサのサポート
    専用のコプロセッサは遂に出なかったと思いますが、NS32081(FPU)を接続する記事は見たことがあります。

これらを見ると他のデバイスが組み込み用途を志向しているのに対し、Z280は汎用コンピュータへの夢を捨てていないように思えるのです。1987年といえばすでにインテルの80386もモトローラのMC68030(こちらはギリギリ)も出ている頃です。そんな頃にZ80の改良で対抗できるとは思えないんですけどね。

さて、何でこんなデバイスを入手しようと思ったかというと、実験・検討用のプラットフォームを製作しようとしているからです。

  • PCとはシリアルか何かで接続できればよい
  • 昔ながらの汎用バスで実験用ボードを接続できること
  • 量産するわけではないので万能基板で作りたい(BGAはもちろんQFPなどの石は避けたい)
  • 簡単なインタプリタ言語を載せて対話的に実験したい

といった条件でボードを作るとしていくつかのCPUを考えていて、その一つがZ280だったのです。

参考文献・関連図書: 
川村雅則(1988)「Z280の特徴と機能」『プロセッサ』1988年2月号,技術評論社.
Z280 MPU Technical Manual, Zilog.

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