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テレホンピックアップ


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ネタが切れてきたなと思っていたところ、「遺物」と呼ぶにふさわしいものが出てきました。

テレホンピックアップ
これは「テレホンピックアップ」と呼ばれていたもの、今では必要ないし事実上使うこともできないものです。名前の通り電話のアクセサリなのですが、何に使うものかわかりますか?

左側の円筒形のものが本体で、φ3.5のプラグ(右側)が付いています。コードの長さは1m程でしょうか。

ピックアップ本体
ピックアップ本体には吸盤がついています。

中はコイルのはずですが、壊さずに見ることはできなさそうなので今回は分解は無しです。

用途が何だったか、わかりましたか?

使い方はこうです。

本体を吸盤で電話機に取り付けます。
どこに取り付けても良いわけではないので、最適な場所を探す必要があります。

次にプラグをテープレコーダのマイク端子に接続します。

そう、これは電話の会話を録音するためのものなのです。

今では電話回線に直接取り付ける録音用の機器がありますが、以前は簡単なことではなかったのです。勝手に機器を取り付けることはご法度でしたし、電話機もモジュラーではなく直接ネジ留めされていることが普通でした。

出土品第1号として紹介した600A型電話機も壁の中のローゼットにネジ留めされていました。

そんな条件の中、合法的に録音するために考えられたのがこのテレホンピックアップなのです。吸盤で貼り付けるだけならメモをテープで張るのと一緒です。

その後、1980年代の中頃だったと思いますが、基準を満たした認定機器は自由に接続できるようになり、このようなモノは必要なくなりました。

さて法的?な問題はクリアしたとして、技術的にどうしてこれだけで録音できるのでしょうか?

実は昔(自由化前)の電話機というのは基本的に能動部品(真空管やトランジスタなど)無しで作られており、2本の線で送受信するためにトランスが入っていました。トランスは磁気を介して信号を伝えるので信号に応じた磁界が発生します。この磁界は筐体を通り抜けて外部にも漏れているのでこれをコイルで拾うことで音声信号が取り出されるのです。
上で取り付ける場所を探すと書いたのは、この磁界が最も強く漏れている場所を探すわけです。

最近の電話機はトランスを使わず(トランスは大きく、重く、高価なので)に同等の機能を半導体で実現しています。すると磁界が漏れてこないのでこのようなモノを使って音声を取り出すことはできなくなりました。「事実上使うこともできない」と書いたのはこのためです。

使えない・必要ない、まさしく「遺物」です。


コメント

親が遺した物を整理してたら出てきました。
最初、何か判らないので色々と想像しました。

なんだか聴診器のようにも見えるのでマイクかなと思い、スマホのレコーダーで音が拾えるかと試したが反応なし。
じゃあスピーカーかなと最大音量で試すも反応なし。
撮影して画像検索するも、似た何かが出てくるだけ。

じゃあと、いやいや出てきはすまいと思うもテレフォンピックアップで画像検索したら、我が家にあるのと見紛うそのものズバリの写真。

お見逸れしました。感謝です。
聞く相手が居なく、大袈裟に言うと途方に暮れていました。
そりゃコイルならスピーカーにはならないし、そこらの音を拾える訳も無いですものね。

記事助かりました。
ありがとうございます。

名前がわかっていれば検索は容易ですが
正体不明の物体から
それの名前にたどり着くところが
一番大変だろ!と思いつつ
お試しで上の写真をGoogleレンズに
見せてみたところ
しっかりテレフォンピックアップだと
認識してくれました。
これ学習させるにはテレフォンピックアップだと
タグ付けされた画像が何枚も必要なはずですが
そんなタグのついた画像がその辺に転がっているはずもなく…
似た画像を含むページからその物体の名前らしき文字列を
判断していると思われますが、
そういったシステムを作るまではまあいいとして
処理結果が妥当かどうかの判断はどうやっているのか?

「処理結果が妥当かどうかの判断」は確かに厄介な問題ですね。
個人的には名前の候補さえわかれば調べて確認できるのであまり困らないですが、確認しないで信じてしまう人は多いでしょうね。

私は、シールドなしのスピーカー線にテレホンピックアップを挟んで、ダンスパーティーの録音に使用しています。使用すると余計なしゃべり声が入らないので重宝しています。もう製造されていないので、見つけたら、ヤフーオークションやメルカリに出品してほしい。

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