パーソナルなコンピュータのグラフィック事情 (第3回: テレビの利用《後編》)

2017-09-05 11:22 — asano

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前回はハードウェアが中心でしたが、今回はソフトウェア的な面について書きたいと思います。

さてテレビに文字表示を行なうコントローラICにグラフィック機能も搭載されていたと書きましたが、どの程度の機能があったでしょうか。

解像度は64×32~256×192程度まで、今から考えるとお話にならないようなものですが、もちろんこれには理由がありました。まず256×192はテレビを使用することからくる制限で、テキスト表示を構成する文字のドットもこの程度です。これが表示できるなら何故解像度を下げた表示があるのかというと、それはメモリの制限です。モノクロで256×192を表示するためには6kBのメモリが必要で、カラーにしようと思えば2~3倍必要になるでしょう。RAMのアクセスタイムも450nsなどというものが普通にあった時代なので帯域の配慮も必要になります。CPUも遅いので必要以上に解像度を上げると描画に時間がかかります。

色数も2~8程度でした。これも同じくメモリの問題が大きかったのです。しかも後述のように色の使用には制限が多く、ドット毎に自由な色をつけることはできませんでした。

パーソナルなコンピュータのグラフィック事情 (第2回: テレビの利用《前編》)

2017-09-04 15:54 — asano

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7セグメント表示器8桁程度ではアドレス・データを表示して1バイトずつ書き込むモニタプログラムの実行は可能でも、BASIC言語のようなシステムを動かすには英数字・記号をある程度の文字数表示できる環境が必要になります。テレタイプでもこの条件は満たせますが、高価で大きく家庭に持ち込めるようなものではありません。

やはりCRT (Cathode Ray Tube)モニタを使いたいということになるわけですが、簡単に手に入るものはテレビだけです。そこで何とかテレビに文字を表示することになります。
当時のテレビには外部入力端子はありませんので、放送電波の形式でアンテナ端子から信号を入れることになります。

ビデオデッキやテレビゲームなども初期の頃は同様の方式で接続していました。そのうちにテレビにも外部入力端子が付くようになり、アンテナ端子への接続は減っていきました。

この方式では電波の帯域制限・Y/C分離・ドットピッチなどの問題から実用になるのは1文字8×8ドットで横に32~40文字程度、縦に16~25行程度となります。これなら1文字1バイトとして512~1kBのメモリですみますから当時のメモリ事情でも無理なく実現できます。

パーソナルなコンピュータのグラフィック事情 (第1回: はじめに)

2017-09-03 18:51 — asano

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これまで「メモリ事情」「サウンド事情」と書いてきましたが、今度はグラフィック事情について取り上げてみたいと思います。

本当の初期、まだパソコン用のディスプレイがなかったころは以下のような涙ぐましい努力がされたようです。

Lucky Star 6I-1

2017-09-02 22:39 — asano

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前にPentium Pro対応のマザーボードとしてP/I-P65UP5を取り上げましたが、もっと普通なものも見つかりました。

Lucky Star 6I-1
Lucky Starの6I-1というものです。かなり大きなボードですね。

メモリは72ピンSIMM×8、拡張スロットもPCI×4 + ISA×4 (1つは共用)と一般のマザーボードとしては最大級のものとなっています。

Socket 8
CPUソケットはもちろんSocket 8です。

NEC uPD71054

2017-09-01 20:28 — asano

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先日のμPD71037とともにμPD71054も出てきましたので、今回はこれを取り上げたいと思います。

uPD71054C
NECのμPD71054C、Intel 8253の改良版の8254をVシリーズ向けにCMOS化したものになります。「-10」が付いていないところをみると8MHz版のようですね。

以前8253と8254の違いがわからないと書きましたが、主な変更点はクロック(CPUクロックではなくタイマ・カウンタとしてのクロック)上限が2.6MHzから8MHz/10MHzに向上したことと、Read-Back Commandが追加されたことの2点でした。Read-Back Commandはカウント値・ステータスをまとめて読み出すためのものです。

4M UVEPROM 再び

2017-08-31 18:55 — asano

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前に4Mbit UVEPROMを取り上げましたが、こんなものも出てきました。

HN27C4001G-10
以前のM5M27C401K-15は三菱製でしたが、これは日立のHN27C4001G-10です。同じく512k×8bitのUVEPROMです。

1Mbit以上(一部512k品も)のUVEPROMにはバス幅の違いやバンク式のものやピン配置の違うものがあり、さらに型番の付け方にもメーカによる違いがあってちょっとややこしいことになっています。M27C801 UVEPROMに簡単な表を載せています。

これもまた大きな、しかも四角い窓ですね。ダイサイズはM5M27C401K-15より小さいです。

NEC uPD71037

2017-08-30 21:34 — asano

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今日のものも買った記憶のまったく無かったNEC VシリーズのDMAコントローラです。

uPD71037CZ-10
NECのμPD71037CZ-10、10MHz版で40ピンDIPのものです。パッケージは他にQFPとPLCCがありました。

このμPD71037はIntel 8237をNECがVシリーズ向けにCMOS化したもの、機能などはそのままのはずです。ちょうど8255に対するμPD71055のようなものです。
元になった8237はPC-9801シリーズに使われていましたから知らずにお世話になった人は多いと思います。

Pen Mouse

2017-08-29 22:00 — asano

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しばらくデバイスが続いたので、今回は変わったマウスを取り上げてみたいと思います。

Pen Mouse
ペン型をしたマウス、これはスタンドに立てたところです。

スタンドから伸びているコードはUSB、PCには当然HID(マウス)として認識されます。
本体(ペン)とスタンド間は無線で接続されます。スタンド底のラベルには27MHzとありましたので、BlueToothなどではありません。ラジコン等と同じ帯域を使っているのでしょう。

Pen Mouse
ペンをスタンドから外してみました。接点のようなものはありません。

Cypress SL811HS

2017-08-28 22:11 — asano

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前にPS/2-USB変換器に使ったSL811HSの残りも出てきました。

SL811HS
CypressのSL811HSです。マイコンのバスに接続できる数少ないホスト機能付きのUSBコントローラでした。今ならUSB内蔵のマイコンでUSB On-The-Goに対応しているものを選んだほうが良いでしょう。

現在はQFPのSL811HSTしかないようですが、私が買ったときにはPLCC版もまだありました。ホスト機能無しのSL811Sなんていう紛らわしものもありましたね。
型番の「SL」はCypressに買収されるまではScanLogicという会社の製品だったためです。

NEC uPD72067 FDC

2017-08-27 18:22 — asano

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これも買った記憶が全く無いモノです。昨日のμPD70216と一緒の袋に入ったまま発見され、おそらくは鈴商で買ったものではないかと思います。

uPD72067
NEC製のμPD72067C、汎用FDC (Floppy Disk Controller)の末期のデバイスです。型番から想像できるようにμPD765系のFDCで、μPD765 ⇒ μPD7265 ⇒ μPD72065/72066 ⇒ μPD72067と進化してきました。

このμPD72067の後継であるμPD72068, μPD72069はIBM PCおよびその互換機向けのレジスタが追加され、汎用FDCというよりはPC向けチップセットの性格が強くなってきます。それに伴ってピン数も増えてDIPのラインナップもなくなってしまいます。